本連載も200回を迎えて、格安SIMのサービスや位置づけは開始時の2014年とは随分変わった。SIMでは通話機能付きのタイプが主となり、一方で単体で購入するSIMスマートフォンでは安価でも不自由なく使える機種があふれている状況だ。
そして今、格安かつ“使える”機種として注目を集めているシャオミ「Redmi Note 11」を実際に購入し、格安SIMとの組み合わせで試した。
2万円台半ばで買えて、“まとも”に使えるスマートフォン
ステレオスピーカー&イヤホン端子有りは○
シャオミの2万円台機種といえば、2020年6月発売の「Redmi Note 9S」がまず話題となった。昨年だと「Redmi 9T」があり、そして今年3月に発売された「Redmi Note 11」と、2万円台でもミドルクラスの性能を持ち、一部ゲームのような高い性能を求められる用途でもなければ、何の不自由も使える端末が提供されている。
Redmi Note 11については、すでにレビュー記事はかなり出ていると思うが、MVNOの格安SIMなどで使う場合の特徴や安い理由などをまとめてみたい。
まず、最初に言えることはウェブ閲覧、各種動画の再生、決済アプリの利用などでは不自由を感じない性能を持っていること。特に動画再生においてはスピーカーを本体上下に配置しているため、横画面にした場合にステレオで楽しめる。また、有線イヤホン端子を持つのも便利な点だ。
そして、昨年人気になったRedmi 9Tと比べると、小型・薄型・軽量化し、ディスプレーが有機ELになっているなどの違いがある。特に小型化、軽量化の部分は数字的にはわずかであっても(Redmi 9Tの77.3×162.3×9.6mm/198gに対して、73.87×159.87×8.09mm/179g)、持ち比べるとハッキリとした差があり、Redmi 9Tのユーザーであれば、パネルの違いはもちろん、本体サイズや重量の違いはすぐにわかるはずだ。
低価格機であるものの普段使いには支障がなく、大きめの画面も動画再生には最適といった本機だが、足りない点と言えば、FeliCaやNFCを搭載せず、さらに防水にも非対応であることだ。コード決済が普及して、FeliCaは使ってないという人でも、マイナンバーカードの活用など、NFCの出番はこれから多くなる可能性もあるので、その点は留意しておきたい。
デザイン面などで割り切りが非常に上手という印象
2万円台半ばという低価格機種でありながら、Snapdragon 680というミドルクラスのプロセッサ、5000万画素をメインに超広角やマクロを組み合わせた4眼カメラ、有機ELパネルの搭載など、充実したスペックだけに、どこかでうまくコストカットしているのではと考える人もいるかもしれない。もちろんそういう部分もあるはずだが、割り切りのうまさで実際に使っていても気にならなくなっている。
前述した防水やFeliCaに非対応なのは割り切り方としては仕方がないと感じる。NFCまで非搭載なのは少し残念だが、使わない人はまったく使わない機能ではある。そして現時点では、主にスピードテスト以外にメリットを感じにくい5Gもサポートしていない。
一方で上手に感じたのは本体外装だ。ケースを付けずに直接本体に触ると、側面も背面もプラスチック感満載。それでも昔のエントリー機種のように、触ると明らかに柔らかいというほど酷くはない。手に触った感じが冷たくなく、触れた場合の剛性感も乏しいところがプラスチックだなと感じられた。視覚的にも仕上げはやはりプラスチックだ。
とはいえ、こうした部分はケースに入れてしまえばまったくわからない。Redmi Note 11はTPU素材によるソフトケースが付属してくるため、これを装着するだけで、すでにボディーの質感は特に関係なくなる。
画面も上位機種のように高耐久ガラスのブランドをアピールしていない。ガラスフィルムを貼り付けることが多い今なら、そもそもここにコストをかける必要が薄らいでいるのかもしれない。本機の場合、購入時に透明のフィルムが貼り付けてあり、別途用意しなくても使い続けられる。筆者も過去のシャオミ機はメーカー出荷時の状態でそのまま使っていたが、フィルムが剥がれやすいことはなく、操作性にも問題なかった。
33Wの急速充電が可能で、対応ACアダプターが付属
最近はエコ重視として、付属品が少ない製品もあるが、Redmi Note 11は比較的豪華で、本機の特徴である最大33Wの急速充電に対応したACアダプターが同梱されている。充電器側は昔ながらのType-A端子で、付属のケーブルで組み合わせると高速での充電が可能だ。
充電が早いという部分は一見地味ではあるものの便利な機能だ。たとえば就寝時に充電を忘れ、朝起きてからケーブルをつないだとしても外出までに必要な容量が溜まる。日常的にモバイルバッテリーを併用していては荷物が増えるし、そもそもモバイルバッテリーの充電を忘れてしまうという可能性もある。
特に動画視聴用のサブ機として考えた場合、充電時間が短いことは有効。もちろん付属のACアダプター以外でも充電自体は可能で、一般的には急速充電を繰り返すより、低速充電のほうがバッテリーを長く使うには適していると言われている。通常は汎用のアダプター、急ぐときは付属アダプターと使い分けてもいいだろう。
独自のMIUIはクセもあるが、使いやすい工夫もある
シャオミ機の特徴としては独自のMIUIを使っている点もある。一般的な操作はAndroidと大きく変わらず、設定画面など細かな点に違いがある。
たとえば上からスワイプして表示するメニューだが、Androidの標準ではメニューボタンが並び、その下に通知が並ぶ。しかし、MIUIの場合は画面上部右側からスワイプするとメニュー、上部左側からスワイプすると通知となる(設定で標準的なメニューに切り替えることも可能)。
また2枚のSIMを使っていると、データ通信に用いるSIMを切り替えたいときもある。Redmi Note 11ではモバイルデータのアイコンをタップすればすぐに切り替えられる。通常の設定アプリから「SIMカードとモバイルネットワーク」の項目に行っても、データ通信をどちらのSIMに担当させるかの切り替えがわかりやすい。
Android標準では上からスワイプするメニューでモバイル通信のアイコンを長押しすることでデータ通信のSIMを切り替えることはできるが、設定アプリからの切り替えは階層が深く、非常にやりづらい。この点はMIUIが一歩リードしている。MIUIのクセとしては、APN設定をする際、データ通信をするSIM側でしか設定できない点がある。両方で設定したい場合はデータ通信を切り替えてそれぞれで作業する必要がある。
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