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複数の論理演算回路を単一の有機トランジスタで実現=東京理科大

2022年03月15日 11時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京理科大学と物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、アンチ・アンバイポーラトランジスタと呼ばれる特殊な有機トランジスタを用い、5つの2入力論理演算回路(AND、OR、NAND、NOR、XOR)の動作を、単一素子で実証することに成功した。2つの入力電圧を調整することで種々の論理演算回路を電気的に切り替えられるため、再構成可能な論理演算回路として利用できる。

東京理科大学と物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、アンチ・アンバイポーラトランジスタと呼ばれる特殊な有機トランジスタを用い、5つの2入力論理演算回路(AND、OR、NAND、NOR、XOR)の動作を、単一素子で実証することに成功した。2つの入力電圧を調整することで種々の論理演算回路を電気的に切り替えられるため、再構成可能な論理演算回路として利用できる。 研究チームは、ある一定以上のゲート電圧を印加するとドレイン電流が減少する特殊な有機トランジスタ(アンチ・アンバイポーラトランジスタ)をデュアルゲート型トランジスタへ拡張し、2入力論理演算回路として応用。トップゲートおよびボトムゲート電圧を入力電圧とし、ドレイン電流を出力信号とすることで、5つの2入力論理回路の動作を単一トランジスタで、室温で実証することに成功した。 有機トランジスタを集積した有機集積回路は、軽量性と高い情報処理能力を備えた高性能モバイル端末の基幹技術として期待されている。だが、既存の微細加工技術が適用できないため、集積度が低いとの課題がある。既存の集積回路では、NAND回路を形成するために4個、XOR回路を形成するためには12個のトランジスタが必要になるが、今回の素子では1個のトランジスタで実現できるため、大幅な素子数の削減に繋がる。 本研究はアドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)にオンライン掲載された。

(中條)

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