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買い物をすることでスポーツチームを応援 新時代のクレジットカード「Nudge(ナッジ)」

2022年03月16日 06時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集● ASCII STARTUP

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 新型コロナの影響で苦境に立たされているスポーツ団体、チームは少なくない。そうした苦しい状況に置かれているチームを、さまざまな形で支援する取り組みが次々に立ち上がっている。例えば、ナッジ株式会社が展開している次世代の提携クレジットカード「Nudge(ナッジ)」もその好例だ。

カード手数料の一部が推しのチームに入る

 「Nudge」はチャレンジャーバンクを目指すナッジが、2021年9月2日より提供を開始したクレジットカード。支払限度額10万円、スマホ連動で申し込みや利用確認などが行いやすいなど、初めてクレジットカードを持つような若年層でも使いやすいものとなっている。

 この「Nudge」最大の特徴が、クレジットカードを使うことで、応援したいスポーツ団体やチーム、また個人への「支援」が行えるという点だ。クレジットカードを使うことで発生する手数料を提携団体とレベニューシェアするという仕組みになっている。利用者は特別なことをする必要はなく、普段どおりにカードを使うだけ。いつもの買い物をクレジットカード払いに切り替えるだけで、「自分の懐を痛めず」に好きなチームの支援ができる、というわけだ。

 提携団体には、J2で戦うサッカーチーム「ブラウブリッツ秋田」やプロバスケットボールチーム「岩手ビッグブルズ」などのスポーツチーム、格闘家の堀口恭司選手といった個人もラインアップされている。スポーツ団体以外には、ゴルフスクールやアーティストのファンクラブ、アイドルグループ、ゲームなどの提携カードもある。カード作成時にこうした中から応援したい提携団体を選び、カードを利用することで手数料の一部が「推し」に入る。

 また、「Nudge」は1枚からでも物理クレジットカードが発行可能。従来の提携クレジットカードは、数万枚の規模ではないと発行できなかった。そのため、カスタマーベースが多い企業・団体でないと提携カードを作るのは難しかった。しかし、「Nudge」は1枚からと従来のロットの概念を壊した。そのため、J1に所属しているような規模の大きなチームでなくても発行できる。「Nudge」が真に革新的なのは、実はこの点にある。そのおかげで、従来は支援を行うことが難しかったマイナースポーツのチームや団体への支援も可能になったのだ。

体験型の特典が得られる次世代型クレジットカード

 一般的な提携クレジットカードは、割引やポイントの加算など、シンプルに「得になる」という特典がある。しかし、「Nudge」は「みんなが得になること」よりも、「希少性」を重視した体験型の特典が用意されている。

 例えば、プロ野球独立リーグで戦う福島レッドホープスの場合、オフショット写真や岩村明憲監督の「ここでしか聞けない」ようなインタビューなどを用意。提携カード利用者に提供している。岩手ビッグブルズの場合は、選手が名前を呼んでくれるメッセージ動画といった、ファンにはたまらない特典もある。ファンは普段の支払いをするだけで好きなチームを応援でき、「ここだけ」という希少な特典が得られる。こうした「もっと応援したい」と思える仕組みも「Nudge」ならではの魅力だろう。

 また、物理クレジットカード(VISA ICカード)発行時に、同じ券面の「保存用カード」も発行できるサービスを2021年12月より開始する。クレジットカードは、財布の中で擦れたり、使ったりすることで汚れたりイラストが削れたりしてしまうもの。とはいえ、ファンとしてはお気に入りの券面はきれいなままにしておきたい。保存用カードは、そうしたユーザーのコレクションスピリッツを満たすサービスだといえる。

「Nudge」の仕組みが地域スポーツの課題解決にマッチ

 「Nudge」はFintechとスポーツを融合させた、新しい取り組みだといえるが、なぜFintechをスポーツシーンで活用しようと考えたのだろうか。ナッジの沖田貴史代表によると、「金融に『楽しさ』を付与したかった」という。

沖田貴史代表

 現状のFintechは不安、不便を減らす取り組みやサービスが中心だ。もちろん、金融という領域だけに、利用者の不安を取り除くことは重要ではあるが、不安を減らすのはそもそも金融機関の義務で、そこから先を考える必要がある。沖田氏は「便利でお得」というFintechへのアプローチを考えており、そこで着目したのがスポーツだったという。

 特に注目したのが、小規模であるものの熱狂的なファンが多い地域スポーツ。例えば、自分の街のサッカーチームであれば、規模が小さくても応援したいと思うもの。一方、チームとしても、大きなチームほど収益はなく経営は簡単ではないため、従来とは違った切り口で収益を挙げる方法を求めていた。とはいえ、ファンの負担になることはできない。使うことで手数料の一部が提携先に入るという「Nudge」の仕組みが、こうした地域スポーツの課題解決にうまく合致したというわけだ。

今後はNFTを活用したファンサービスを展開

 沖田氏に今後について伺ったところ、「Nudge」の基本的な機能の充実とクラブ提携の強化、さらには「NFT(非代替性トークン)」の導入を検討しているとのこと。例えば、先述の会員特典の写真やムービーをNFTにすることで、「私だけのもの」という特典の希少性を高めるといったことが挙げられる。スポーツ団体では、西武ライオンズやDeNAベイスターズなどがNFTを活用したファングッズを展開しており、今後はこうしたNFTを用いたグッズ展開が増えそうだ。

 沖田氏はSBI Ripple Asia株式会社代表取締役時代にブロックチェーン技術の日本・アジアでの実用化に貢献した実績を持っており、「実需のあるNFT活用」を今後の課題に掲げている。特にスポーツ界ではFintechへの注目が高まっており、同社でもこれまでに培ってきた知見を共有しながら、連携の強化や新しい取り組みを模索するとのこと。

 Fintechとスポーツを掛け合わせるというこれまでにない形のクレジットカードである「Nudge」。地域スポーツの活性化は、地域創生という面での貢献も期待されている。今後、「Nudge」がどのような形で広がっていくのかに注目したい。

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