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Cybozu Days 2021で聞いたエンタープライズセッションの後編

長大な三菱重工でkintoneによる業務改善を事業部門とチャレンジしている話

2022年03月14日 10時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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サブスクのkintoneは作れば作るほどお得

 では、1~5を実践したMAKANAI活動の結果はどうなったのか? 2021年の初夏に始めて58日間を見てみると、開発されたアプリは38アプリに上っている。1.5日に1つのアプリが生まれた計算だ。2021年11月現在開発したアプリの数も108に及んでおり、部門も複数に、さらに海外事業にも拡大しているという。当然、サブスクリプション型でアプリ作り放題のkintoneの場合、作れば作るほどアプリのコストは無料に近づいていく。「圧倒的なコスパを実感している」と山本氏は語る。

MAKANAI活動で開発されたアプリ

 MAKANAI活動で作られたアプリの実例を披露した。事例として多いのは、やはりExcelで管理していた台帳のクラウド化、機器や備品の予約・貸出管理、kintoneやSlackのようなコミュニケーションツールとの連携などだという。「フロー型のSlackとストック型のkintoneをZapierで連携させることで、業務上の多くの無駄を減らせていると実感している」と山本氏は語る。

2週間でアプリが作れたことに事業部門から高い評価

 後半はサイボウズ ソリューション営業部 部長 堤 裕雅氏から山口氏への質疑応答。まずは山口氏自体の経歴だが、「コンサル出身とかだったらカッコよかったんですけど、実際は機械設計の技術者。長らく現場と事務所を行ったり来たりしながら、業務上の課題に直面していた人間です」とコメント。ITにくわしくはないが、「ワタシキントーンチョットデキル」のTシャツは着て登壇しているが……。

後半は質疑応答

 まず事業部門に在籍しての緊密な連携については、「事業部門からの信頼を得るのは重要だが、単にコミュニケーションをとるだけでは、信頼を得られるわけではない」と一声。開発者にありがちな「自分たちで作りたいものを作る」ということをやめ、ユーザー視点で行動すること、とにかく声を聞きながらやっていくことが重要だという。

 続いて増え続けるアプリの運用については、DX部門が担当している。不具合があってもユーザーから通知できるようにし、タスクに関してもkintoneで管理しているとのこと。監査ログでエラーが起こった際にはSlackで通知されるようにしており、ユーザーが気づく前にDX部門側から不具合に対応することもできている。

 また、使える機能を標準機能にしぼっているのも安定性の上では重要だという。「kintoneっていくらでもアプリ作れるんですけど、カスタマイズをしすぎると、不具合が起こったり、なにか起こった際の改修に時間がかかる。シンプルな形でアプリを作ることが安定運用の鍵だと思う」と山口氏は語る。

 こうしたMAKANAI活動は現場部門からも評価の声を得ている。「ある海外拠点の担当者は2年間も業務改善に着手できなかったが、最近われわれDX部門と付き合うようになり、たった2週間でアプリが作れたことを高く評価してくれた。その拠点では業務改善をすべてkintoneで実施する予定で、すでにリストまで来ている(笑)」と山口氏は語る。国内のみならず、北米、中東、シンガポール、欧州の拠点でもkintoneによる業務改善が進んでおり、距離や時間の差があってもMAKANAI活動でサポートできているという。

 これまでのMAKANAI活動については、「業務改善はあくまで相手ありき。相手の課題を解決するためには、ユーザー目線で進めることが重要」「kintoneのテクニックを求めるのではなく、難しく作り過ぎない。シンプルに作って、改良を加えていく」と改めて強調する。こうしたベストプラクティスは、作りながら、事例を見ながら、試行錯誤をしながら、学んだもの。「学んで、チャレンジすることが好きなメンバーが集まっている」(山本氏)というDX部門の試行錯誤はこれからも続く。

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