このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

AMDが“究極のワークステーション向けプロセッサー”と表する「Ryzen Threadripper Pro 5000 WXシリーズ」の気になるポイントを解説

2022年03月08日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Zen 3世代の「Ryzen Threadripper Pro 5000 WXシリーズ」のスペック発表!

 2022年3月8日、AMDは自ら“究極のワークステーション向けプロセッサー”と表する新CPU「Ryzen Threadripper Pro 5000 WXシリーズ」を正式に発表した。

 Threadripperはコンシューマー(HEDT)市場におけるCPUコア数の常識を塗り替え、同時にHEDT向けCPU市場からインテルのCore Xシリーズの存在感を消し去ったCPUシリーズである。2019年にZen 2世代のThreadripper 3000シリーズでは64コア/128スレッドという最大規模の製品が登場たが、その後2020年にはワークステーション市場向けにメモリーチャンネルを倍増させたThreadripper PRO 3000 WXシリーズが存在する。

 今回のThreadripper PRO 5000 WXシリーズは、同3000 WXシリーズのアーキテクチャーをZen 2からZen 3に更新した製品となる。Zen 3に関する解説は大原氏の記事を参照されたいが、ダイ(CCD)内部の構造が変わっており、これまで4コア+L3キャッシュのブロックが2つで1CCDを構成していたものが、8コア+L3キャッシュだけの構成になり、より効率良く処理することができるようになった、というのが最大の変化である。

Threadripper PRO 5000 WXシリーズは究極のワークステーション向けプロセッサーである、とAMDは謳う

 今回はThreadripper PRO 3000 WXシリーズのローンチと同様、メディア向けのレビュープログラムは用意されなかった。当面の供給先はDIY市場ではなく、メーカー製ワークステーションに向けたOEM出荷がメインとなる。

 さらにAMDからメディアに提供された資料には技術的な詳細はほとんどなく、ほぼ競合との性能比較が主なコンテンツだった。今回はその資料の中から筆者が気になったポイントをかいつまんで解説しよう。

Threadripper PRO 5000 WXシリーズは当面メーカー製ワークステーション向けに出荷される。図はレノボの「ThinkStation P620」

最大コア数は64基と変わらず。24コア/48スレッドモデルも投入

 Threadripper PRO 5000 WXは全5モデルが投入される。フラッグシップである「Ryzen Threadripper PRO 5995WX」は、64コア/128スレッドで最大4.5GHz、ローエンドの「同5945WX」は12コア/24スレッドで最大4.5GHzと、前世代からコア数は据え置きだが、クロックは若干上昇している。そして今回、24コア/48スレッドの「Ryzen Threadripper PRO 5965WX」もラインに加わった。TDPはどのモデルでも280Wに設定されている。

 今回、対応マザーボードについての明確な言及はなかったが、様々な情報やRyzen 3000→5000の時の差分を考えると、Threadripper PRO 5000 WXシリーズは前シリーズとソケットは共通、WRX80マザーを使用するという点は共通であると考えられる。

 そして8chメモリー仕様であることから、Threadripper 3000シリーズ用のWRX40マザーとは互換性はない。広帯域のメモリーバスやPCI Express Gen 4レーン数が必要なワークステーションに照準を絞った設計である。またセキュリティー機能にAMD Shadow Stackが追加され、悪意ある攻撃に対する攻撃検出や阻止がより容易になった。

Ryzen Threadripper PRO 5000 WXシリーズのスペックと、既存の3000 WXシリーズとの比較。コア数は変わっていないが、Zen 2がZen 3になったCPUと考えれば、当然であるともいえる

新旧シリーズの比較。コア数は据え置きだが、Zen 3移行に伴いクロックやIPCの向上、コア間レイテンシーの短縮などがメリットとして挙げられているが、セキュリティーの項目に「AMD Shadow Stack」が追加されており、よりセキュアな環境が構築できるという

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ