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東大、がん画像の特徴を数値化するAI技術を開発

2022年03月03日 06時03分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、深層ニューラル・ネットワークを用いて、がん病理組織画像の特徴を数値化する技術を開発した。同技術を用いることで、がんの病理組織像の特徴を定量的データとして扱えるようになる。がんの再分類や、類似症例の検索、がんの遺伝子変異予測などさまざまな用途への応用が考えられるという。

東京大学の研究チームは、深層ニューラル・ネットワークを用いて、がん病理組織画像の特徴を数値化する技術を開発した。同技術を用いることで、がんの病理組織像の特徴を定量的データとして扱えるようになる。がんの再分類や、類似症例の検索、がんの遺伝子変異予測などさまざまな用途への応用が考えられるという。 がんの診断には通常、病理組織像を顕微鏡で観察する病理診断が用いられる。診断は基本的に個別の病理医の経験知に基づいており、客観的な記載や数値化は難しい。そのため、症例情報の蓄積、他の臨床データとの定量的な比較、類似症例の検索といったデータとしての扱いが難しかった。 この研究では、「バイリニア畳み込みニューラル・ネットワーク」と呼ばれる特殊な深層ニューラル・ネットワークを用いた。研究チームが同ネットワークを用いて、がん病理組織画像をディープ・テクスチャと呼ばれる1024次元の数値ベクトルに変換したところ、がんの組織学的特徴が極めてよく表現されることがわかった。同チームはさらに、数値と病理医の評価を比較・検証することで、最適なネットワークと層の組み合わせを見い出した。 研究成果は、3月1日に米科学誌セル・レポーツ(Cell Reports)にオンライン掲載された。研究チームは、本技術を利用した類似症例の検索機能および遺伝子変異の推定機能を、Webアプリケーションやスマホ向けアプリとして公開している。

(中條)

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