こんにちは、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会(以下、当協会)の顧問理事の寺田学です。
当協会が提供しているPython3エンジニア認定試験の試験問題策定と、コミュニティ連携を行っています。
また、日本国内でのPythonの普及や開発支援を行うためのカンファレンス「PyCon JP」を開催している非営利組織、一般社団法人PyCon JP Associationの代表理事を法人の設立当時から務めています。
今回は昨今のプログラミング事情や昨年1年間のPythonの振り返り、今後についてお話してみたいと思います。
最近のプログラミング需要とPythonのポジション
この20年ほどで誰しもがコンピュータを目の前に置くようになり、そして、昨今はPCやスマホ、スマートウォッチ、インターネットにつながる万歩計など、インターネットなしに生活できないくらいにインターネットを介していろんなことが行なわれるようになりました。その結果、GPS情報や脈拍数、運動量などをはじめとした様々なデータがものすごい勢いで増えています。
こうして集まったデータはとても膨大かつ有用な情報にあふれていることから、これらのデータを活用しようということがいま世間で大きく叫ばれており、様々なデータが様々な場所で多く活用される世界が広がっています。
そのため、多少なりともプログラミングができた方が、データの分析やとりまとめ、加工などの作業がしやすくなりますし、自分でそういったプログラムを書ければ自分ですぐに結果を得られるようになりますので、プログラミングに手を伸ばす人が増えているようです。
また、昨今のコロナ禍で広がったテレワーク中心の生活による影響や、DXによるデジタルデータの活用も叫ばれるなど、プログラミングができるようにならないと会社や個人の仕事の将来が脅かされるという脅しもはびこっており、それらがまたよりプログラミングが注目される要因となっているようにも思います。
そんな中、Pythonがますます注目を浴びていますが、それはPython自体がWebやデータ分析など、幅広い分野や多くの用途で使いやすいプログラミング言語であることが影響していると考えています。実際、Pythonの国内事情を見ると、Pythonユーザーは非常に増えています。特にこれまでプログラマではなかった人がPythonを使っており、プログラミングの必要性をみんなが感じるような世界が来たんだなと感じた一年でした。
プログラミングの基礎知識を身に着けるのに最適なPython
2022年から高等学校の情報科目でプログラミングが必修化されます。文部科学省の指導要綱を見てみるとそれなりに高度なことを学ばせようと試みているようで、これは難しい側面はあるものの、多少なりともプログラミングを経験した人が卒業し、社会に出てくるような世の中になってくるということになります。
ふと30年ほど前を振り返ると、当時は一人一台と行き渡らせられるほどの端末がなかったため、PCの取り扱いは特殊技能だった時代がありました。確かにある程度できる人もいましたが、いわゆるタイプライターというような、専門職種に近い形で扱われていたような時代でした。
ところが今の世の中ではワープロやPCのキーボードを使えなければビジネスマンとしてなかなかやっていけない時代になっています。
高校での情報科目の必修化の流れやいろんな人がプログラミングをできるようにと考えれば、プログラミングも今後は基礎として身に着けているものとして扱われていく可能性もなくはないと考えています。
そうした側面で見たときに、Pythonは過去に得た知識が古くて使えなくなるような大きな改変はなく、これまでに学んだことが今後も継続して使えるため、非常に学びやすい言語で、使いこなすために習得する言語として非常に良い言語だと考えています。実際、活躍の場が今年もすごく増えたなあと思っています。
若い人たちがプログラミングを学ぶ目的として、スマホアプリやゲーム、Webのフロントエンドをやりたいという人が多くいます。それに対して、Pythonが特に向いているかといえば、正直に言えば主流ではなく、現状ではそこまで向いているとは言えません。できないわけではありませんが、別の言語を学ぶ必要があります。
ただ、基本的なプログラミングの概念を学び、できることを増やすという視点から見ると、Pythonは非常に適しているため、それがPythonのニーズの高さにつながっていると考えられます。