世界の時計市場の中でも、日本のブランドが手がける製品はおしなべて高評価。マジョリティであるスイス、あるいはドイツブランドの伝統的な製品に比して勝るとも劣らぬクオリティを備えているだけでなく、様々な先進技術を駆使して常に“高品位な時計”という概念に新風を吹き込む姿勢は、日本のクラフトマンシップ、ここに極まれりである。
年が改まった2022年もその勢いは増すばかりだ。巧緻なメカニズムを誇る自動巻きクロノグラフから独自設計のクォーツムーブメントを用いた“超”スリムモデル、現代人のニーズにぴたりと寄り添うエレガンスを最新技術で具現化した人気シリーズまで、百花繚乱だ。
世界屈指の品質を体感できる、注目の国産ウオッチを紹介する。
1969年の歴史的名作の理念を継ぐ!
セイコー/プロスペックス SPEEDTIMER メカニカルクロノグラフ 限定モデル
数ある腕時計の付加機能の中でも、様々な時間を「切り取り、記録する」(積算経過時間を計測する)クロノグラフはとくに実用性が高く、人気がある。ビジュアル的にも計測機器然とした雰囲気が前面に押し出され、デザインに惹かれるファンも少なくない。日本の時計文化の立役者であるセイコーは、このクロノグラフの旗手でもある。
セイコーは1964年に東京で開催されたオリンピックで、スタート・ストップ機構に先進的な「ハートカム」を搭載したストップウオッチを導入し、それまで不可能だった0.01秒単位の高精度計時を実現。時計の計時機能の技術革新を成し遂げた。同年にはストップウオッチ機能を腕時計に組み込んだ国産初のクロノグラフを発売し、1969年、高度な垂直クラッチを搭載した世界初の自動巻きクロノグラフ「1969 スピードタイマー」を発売した。同社は国内のみならず、世界的にもクロノグラフ開発で一歩先を行く存在となったのだ。
「プロスペックス」の最新作、「SPEEDTIMER メカニカルクロノグラフ」はセイコー・クロノグラフの礎となった「1969 スピードタイマー」のDNAを継承する、現代の革新的な代表作。視認性の高い文字盤や操作性に優れるプッシュボタンなど、実用性重視の要素を現代的に再構築し、機能性や審美性が大きく進化している。
新たに開発されたCal.8R46は、クロノグラフ機構の伝達部位に1969 スピードタイマーと同様、安定性が高く高精度な動作が望める垂直クラッチを採用し、操作の制御部位には一般的な形式よりスムーズで正確に動作する高級なコラムホイールを採用。内部機構から外装に至るまで、長年のクロノグラフ開発で培った技術・ノウハウが集約されている。
フェイスは1960年代調のツーレジスター式で、懐かしくも新しい、気品の漂うデザインにも注目したい。腕時計にとって“美しくあること”は最重要のスペックだ。見た目に関しても源泉は同社の栄光の歴史。話題のニューフェイスの実力は、一朝一夕で結実したものではない。
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