プラリペアで穴埋めをします
ようやく完成したモトコンポの自作トップカバー。ところがいざ取り付けてみたら金具がシートに当たってしまい、ロックをオープン位置にできないことがわかりました。金具の取り付け位置を検討する時に真っ先に調べるべきポイントですよね。ぶつかったりしないかとかって。
裏側にネジとナットが飛び出しても大丈夫なことは確認してたんですけど、もっと根本的なところをスルーしていました。ウカツ!
解決するにはぶつからない位置に金具を移動させるしかありません。それ自体は新しい位置にドリルでネジ穴を開けて金具を付け直すだけなので大した作業じゃないんですけど、そのままでは元の位置に穴が開いたままになってしまいます。
今回はその穴を埋めてふさぎたいと思います。
穴埋めに使ったのはプラリペアという補修剤です。
何かの修理で一度使ったことがあって、捨てたりしてなかったよなと探してみたら出てきました。
粉と液を混ぜるとガッチリと固まり、割れた部分を補修できるほか、穴埋めのように欠損してしまっている部分の再生も可能。型取りして複製品を作ることもできるという万能っぷりです。
瞬間接着剤みたいだけど全然違います
このプラリペア、瞬間接着剤にパウダーを混ぜて使う製品に似ていたので、同じなのかと思っていたんですが全然違いました。
瞬間接着剤の主成分はシアノアクリレートという物質で、シアノアクリレート分子が空気中の水分に接すると次々と繋がっていっていく重合という反応を起こして硬化します。この固まった状態をポリマー、元の状態をモノマーといいます。
モノマーの「モノ」はモノラルとかモノクロのモノと同じで「ひとつの」という意味。分子が1つ1つバラバラで存在している状態です。ポリマーの「ポリ」は「たくさん」。モノマーがたくさん集まって分子量がだいたい1万を超えるとポリマーと呼ばれるそうです。
シアノアクリレートにはいくつか種類があるんですけど、一般的な瞬間接着剤に使われるエチル2-シアノアクリレートの分子量は125なので、ポリマーになるとはるかに大きくなるのがわかります。
プラリペアの液の主成分もモノマーですが、こちらはメチルメタクリレートという物質です。粉はアクリル樹脂で、液と粉を混ぜることで重合反応が起こりポリメチルメタクリレート(PMMA)というポリマーになります。あまり聞きなじみがないかもしれませんが、別名はアクリル。つまり粉と同じアクリルです。
重合が始まるには、シアノアクリレートに対する水のように反応のきっかけとなる開始剤が必要なので、粉の方に何かが入っているんじゃないかと思います。
穴の裏にテープを貼ります
いきなり脱線しちゃいましたが、穴埋めに戻りましょう。
プラリペアの粉と液を混ぜるとドロっとした液状になります。木工用ボンドと同じぐらいの粘度かな。傷を埋めたりするならそれを塗ればいいんですけど、貫通している穴の場合は下から流れ出てしまうことに。
それを防ぐため、まず穴の裏側にテープを貼ります。
表に返してプラリペアを……と思ったところで、またもやミスに気づきました。せっかく開けた新しい穴の裏にテープを貼っていたのです。間違えちゃいけないと思いながらやったはずなのに、いきなり埋めてどうするのかと。
幸いプラリペアを塗る前だったので貼り直します。
液を粉に1滴だけ落とします
準備ができたらプラリペアの出番です。まず付属のスポイトを使って、プラリペアの液を小さいボトルに移します。
この液、なんだか歯医者的な匂いがします。被せ物を接着するときの匂いかなぁ。基本的な成分が同じなのかもしれません。
歯の痛みまで思い出しそうなのでにおいはなるべく嗅がないようにして、小ボトルの先端にニードルを取り付け、粉の上でボトルをほんのすこし押します。
ニードルは注射針とは違って尖っていないし、先端に穴も開いていません。針の途中に穴があり、そこから液が出るようになっています。その液がニードルを伝わり、先端にしずくのように溜まっていきます。
そのままもうすこしボトルを押して1滴だけ粉に落とします。1滴だけですよ。ボトルをギュッと押すと出過ぎてしまうので、本当にほんの少し押す程度にした方がいいです。
固まりを持ち上げて穴に持っていきます
液を落としたところにニードルを刺すと粉と液が混ざった固まりを持ち上げることができます。
固まりを持ち上げた状態でボトルを押してしまうと出てきた液で溶け落ちてしまうので、絶対押さないようにしましょう(経験者)。
この粉と液でできた固まりを落っことさないように注意しつつ、埋めたいところに持っていきます。今回はネジ穴ですね。
そして穴の中に固まりを入れるんですが、あとで説明書をよく読んだらちょっと間違っていました。固まりをそのまま入れるんじゃなくて、埋める部分のところに持っていったらまたすこしボトルを押し、出てきた液で塊を溶かしてポトっと落とすのが正解。
そうすると平坦な状態で固まるのに、液が少ないもんだからガビガビに盛り上がってしまいました。生クリームを泡立てすぎた時みたいです。
しっかり固まっているようなので支障はないと思いますけど、本来は液が多すぎるぐらいがいいようです。余分な液は固まらないので拭き取ってもいいし、固めたいならほんの少し粉を振りかければいいっていう。
ヤスリと紙ヤスリで仕上げます
5分ぐらいで硬化するので、まずはヤスリでざっくり削りました。
カウルを削ってしまわないように気をつけながらガリガリしていきます。
塗りつける時に固まりを溶かしていればもっと平らになっているので、この作業はいらなかったかもしれません。めんどくさがって説明書をちゃんと読まなかったため、余計な手間がかかってしまいました。
ヤスリである程度削ったら、400番→800番の順に紙ヤスリで磨きます。最初は指で押さえてシャシャッとやっちゃいましたけど、このあと紙ヤスリを板に巻き付けて磨きました。
指だとデコボコを吸収しちゃうから平らにするのが難しいんですよね。プラリペアはかなり硬くて逆にカウルは結構やわらかいので、カウルばかり削れてプラリペア部分は全然削れないなんてことになりかねません。
ペーパーがけをする時は、時々、指で撫でてデコボコ具合をチェックするようにしています。サーフェイサーを吹きつけた後のようにグレー一色だと段差やデコボコを判別しやすいんですけど、そうじゃないと見てもわからなかったりするんですよね。意外とほんのわずかな段差を感じ取れて、人間の指ってすごい感覚器官だなと再認識できます。
表面がスベスベになったらきれいに拭いて穴埋め完了。埋めた部分に塗装をしたら、いよいよ完成です(今度こそ)。
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