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セリプスキー新CEOが見せた"パーパスビルト"なサービスへのこだわり

Graviton3、プライベート5G、デジタルツイン AWS re:Invent 2021で発表されたアップデート

2021年12月03日 10時00分更新

文● 五味明子 編集●大谷イビサ

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Amazon SageMaker Canvas

 re:Inventでは毎年、AWSの機械学習サービスのコアである「Amazon SageMaker」のアップデートがいくつか発表されるが、今回、セリプスキーCEOが紹介したのは「機械学習の民主化を進め、誰もがペタバイトクラスのデータにアクセスすることを可能にする」というノーコードでの予測生成を実現する「Amazon SageMaker Canvas」だ。

ノーコードでMLモデルを作成し、予測を行えるAmazon SageMaker Canvasはビジネスアナリストや学生がメインターゲット

 ターゲットとなるのユーザはビジネスアナリストや学生など、機械学習の専門家ではない人々で、ビジュアルなインタフェースを利用し、コードを書くことなく機械学習モデルを作成し、クレジットカードの不正検出、サプライチェーン最適化、在庫最適化などの予測を高い精度で行なうことができる。

 ノーコードでありながら高い精度の予測モデルを構築できるのは、S3やRedshift、RDSなどのAWSのデータサービスのほか、オンプレミスのローカルデータなどさまざまなデータソースからペタバイトクラスのデータを参照し、SageMakerのテクノロジーでもってデータを自動的に結合し、内部で数百のモデルを作成してから、もっともパフォーマンスの高いモデルを選んで予測を生成しているからだ。セリプスキーCEOの言葉にあるように、"機械学習の民主化"を実現する最適なエントリポイントといえるかもしれない。

AWS IoT TwinMaker

 AWSはここ1、2年、個々の業界のユースケースに特化したいわゆる"パーパスビルト(Purpose-build)"なサービスの提供に力をいれている。たとえば昨年のre:Inventで発表された産業機器の異常検知システム「Amazon Monitoron」などは製造業の予知保全を可能にするエンドツーエンドなIoTサービスとして高く評価されている。

 今回発表された「AWS IoT TwinMaker」もおもに製造業での利用が期待されるデジタルツインの構築/運用サービスだ。機能としては大きく以下の4つが含まれている。

物理のエンティティをデジタルで仮想的に模倣するデジタルツインをクラウド上で簡単に構築するAWS IoT TwinMaker

・データコネクタ … データソースにアクセスするためのコネクタ。あらかじめ組み込まれているコネクタのほか、サードパーティのデータソースにアクセスするためのコネクタを作成することも可能

・モデルビルダー … 物理システムを仮想的にあらわすエンティティを作成し、エンティティ間の関係を推定、データソースに接続してデジタルツイングラフを作成

・シーンコンポーザー … 既存の3Dビジュアルモデルをデジタルツイングラフのデータと組み合わせ、物理環境のインタラクティブな3Dビューを作成

・アプリケーションツールキット … Amazon Managed Grafanaと連携し、(工場関係者など)エンドユーザが運用しやすいデジタルツイン管理アプリケーションを作成

 AWS IoT TwinMakerは米国東部/西部、アイルランド、シンガポールの各リージョンにおいてプレビュー提供となっている。

AWS IoT FleetWise

 セリプスキーCEOが最後に紹介した新発表は「1台あたり、1時間で2テラバイトのデータを生成する」(セリプスキーCEO)といわれる車両データの収集/変換/クラウドへの転送を行うマネージドサービス「AWS IoT FleetWise」だ。ひとくちに車両データといっても、車両ごとにデータのフォーマットや種類がまったく異なるが、FleetWiseはそうした多種多様で膨大な車両データを標準化し、統合的に管理することができる。

 ターゲットになるユーザは自動車メーカーやセンサーなどの部品メーカーなどで、ユースケースとしては

・車両のカメラデータを収集し、自動運転車や先進運転支援システムなどをトレーニング
・車両のリアルタイムデータから部品の故障などをプロアクティブに予測/特定し、保証請求やリコールを最小化
・近くの車両からの気象や運転条件などのデータを使用して電気自動車のバッテリー範囲の推定値を改善
・近くの車両から特定のデータを収集し、道路状況の変化(工事、車線の閉鎖など)をドライバーに通知

といったものが考えられる。車両データの活用は最初のステップであるデータの収集のハードルが非常に高いため、その部分をAWSがマネージドサービスで支援するかたちだ。

さまざまなフォーマットの車両データをクラウド上に格納し、データの標準化をはかるAWS IoT Fleet

 CEOとしては初のre:Invent登壇となったセリプスキーCEOだが、ここで紹介したアップデートはAWSの既存サービスを強化/拡張、あるいは特定のユースケースやユーザに最適化したものがほとんどで、比較的落ち着いた、少し意地悪な表現をすればre:InventでのCEOデビューにしては地味な内容の発表であったことは否めない。

 だが、おそらくそれもセリプスキーCEOの思うところだったのだろう。キーノート後のプレスカンファレンスでセリプスキーCEOは「私の好きな言葉は"パーパスビルト"であり、これからのサービス展開もこれを心がけていきたい」と語っていたが、顧客ごとの細かな要望にひとつひとつ丁寧に応えていこうとする姿勢がうかがえる。すべての顧客にとって最適化されたクラウドへ~AWSの新リーダーが静かな決意を見せたオープニングキーノートだったと言えるだろう。

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