“人生のハイライト”に寄り添う頼もしき相棒!
30代で初めて買う30万円以下の「本格機械式時計」3選
2021年11月12日 09時00分更新
電波時計やGPSウオッチ、スマートウオッチなど、腕時計の形式は日進月歩で進化し、細分化されつつある。これらの動向を端的に表現すれば、“より正確で、機能性を増している”ということになり、時計の存在意義を考えれば正論以外の何ものでもないのだが、その実、時計シーン全体を見渡すとこうした新進の分野はそのメリットに比して決して絶対的マジョリティというわけでもない。こと伝統的なスイスブランドを中心に形成される、いわゆる本格時計の市場においては現在も古典的な機械式時計が重視され、人気の核を担っているのだ。
一般的な視座で考えると“何がいいの?”となるわけだが、機械式時計は前述の新鋭分野と異なり、一切のエレクトロニクス、電力に依拠する動力源や回路を持たず、具体的にはゼンマイと歯車のみで駆動し、日々の実用に足る精度で時間を表示している。この構図に宿る、先人から長きにわたり継承された“叡智”こそが機械式時計のステータスであり、普遍的価値として重視されているのだ。さらに、メンテナンスを怠らなければ一生使い続けることのできる“恒久性”も魅力。
実は、近年の技術進化で実現されたものは時計のエレクトロニクスに関するものだけではなく、本来は製造に手間暇=コストのかかる機械式時計をより手頃な価格で提供できるというコストパフォーマンスも見逃せず、たとえばいわゆるエントリークラスとされる30万円以下の価格帯でも本格的な資質を備えた実力派が多く出現している。
こうしたモデルは世代を問わず親しめるが、社会人として一定の経験を重ね、“長く使える、よいものを選ぶ”ことでモチベーションを高め、さらなる飛躍が狙える30代はまさにストライクゾーンと言ってもいいだろう。しかるべきタイミングで、身の丈に合ったスタイルで機械式時計デビューを飾り、その魅力に触れながら知見を深めてより高度な機種へと変遷を重ねるのも愉しいものだ。
そんな、人生のプロセスにおいて重要なニーズを満たす、最新の注目作を紹介する。
自分だけの経年変化が楽しめる、ブロンズケースの最新作!
オリス/ビッグクラウン プロパイロット
時計で時刻調整やゼンマイを巻き上げたりする際に用いる“リューズ”は、形状が王冠に似ていることから“クラウン”とも呼ばれる。ネーミングの“ビッグクラウン”はつまり大きなリューズのことで、このモデルの出自を物語る重要なポイントだ。
オリスは1904年に創業したスイスの時計ブランドで、ラインアップの中心は多くの人々が親しみやすい価格帯の機械式モデル。と、言ってもその内容は本格的で、機構、外装ともに機械式本来の魅力を存分に楽しめる。“スイス時計の良心”といったところか。
その中で確固たるポジションを占めるのが、パイロットウオッチだ。同社は1910年代に航空時計の製造を開始して以来多くの傑作を世に送り出し、それらは同社が人気ブランドとしての地歩を固める要因ともなったのだが、1938年に発表された“ビッグクラウン”は一連の躍進を象徴するモデル。最大の特徴はパイロットが飛行中グローブを着けたままでも操作しやすいよう大型化されたリューズで、機能性を重視した意匠は使いやすいだけでなく、とくに現代ではデザイン上のチャームポイントにもなっている。
ビッグクラウンは多彩なバリエーションが展開されているが、このほど、「プロパイロット」シリーズにブロンズ製のケースを採用した新作が加わった。ブロンズは長年の使用で表面が個々の環境に応じて徐々に酸化、色味や質感が変化し、個性的なエージングが楽しめる。搭載される自動巻き式のCal.Oris751は毎時2万8800振動というハイビートによって安定した高精度を保ち、定期的なオーバーホールを施すことで一生モノとして付き合うことができる。
つまり、このモデルの本当の魅力は、長く使ってこそ実感できるのだ。デザインはいわゆる軍モノ然としたハードな印象は皆無で、簡潔な構造美と落ち着いた配色、ことブロンズ素材の艶やかなニュアンスが独自のエレガンスを醸し、ビジネスユースにもフィットする。
長い期間で着実に身に染みるポテンシャルは前途洋々、それぞれの明日に向かって歩を進める30代の“パートナー”にふさわしい。
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