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「Hitachi Social Innovation Forum 2021 JAPAN」で3氏が一堂に会し講演

日立Lumada、GlobalLogic、日立ヴァンタラのリーダー3氏が連携戦略を説明

2021年10月18日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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GlobalLogic:顧客コア製品のデジタル化にとどまらない提案を行う

 GlobalLogicのサマント氏は、「GlobalLogicをひとことで表すと、デザイン主導のエンジニアリング企業だ」と説明する。デザインとエンジニアリングの高度なスキルを融合させることで顧客のデジタル化を支援し、新たなビジネスモデルや収益源の創出によりビジネスを変革、成功に導くことが同社の役割だ。

GlobalLogicの概要

 GlobalLogicには、エクスペリエンスデザイン、高度なエンジニアリング、コンテンツエンジニアリングという3つのコンピテンシーがあるという。ここにおいて、日立のLumadaや日立ヴァンタラとのシナジー効果も生まれると強調した。

 「『消費者に何が提供できるのか』という観点からアイデアを出し、デジタルに踏み出す手助けを行い、ビジネスモデルの再構築や新たな提案を行う。その際には、チップからクラウドまで対応できるエンジニアリングの力を活用。次世代技術によって、アイデアに新たな命を吹き込む。さらにデータの収集と分析により『価値』を見出し、消費者の体験をより良いものにする。デジタルプラットフォームとしてのLumadaをさらに強化し、Lumadaを活用した新たなソリューションの創出にもつなげることができる。さらに、日立ヴァンタラとの連携により、マルチクラウド環境上にデータドリブンなソリューションを構築できる」(サマント氏)

 またサマント氏は、顧客企業における変革のステップを「たまねぎの層のように捉えている」と説明する。まずは「コア製品」をデジタルで強化すること、次に「デジタルの拡張」で新しい顧客とのインタラクションを創造すること、「デジタルサービス」として実世界にあるものをデジタルで強化すること、そしてユニバーサルプラットフォームの活用を通じて「デジタルエコシステム」の協創を広げること、という4つのステップだ。この考えに基づき、単に既存のコア製品だけにフォーカスした提案ではなく、デジタルサービスやエコシステムまでを追求する。

顧客の次世代ソリューションを協創するために、コア製品のデジタル化だけにとどまらない提案を行う

 具体的な顧客事例もいくつか紹介した。教育系出版社のPearsonでは、オンライン教育プラットフォームを活用してデジタル時代のビジネスモデルを再構築し、学習者一人ひとりに合わせてインタラクティブな進捗管理を行う“Leaning as a Service”を実現した。また建設用工具メーカーであるHILTIでは、製造/販売だけでなく“工具をサービスとして提供する”新たなビジネスモデルを開始。これまでにない収益モデルを構築しているという。

 「DXにおいては、Why(何をするのか)、How(どうやって変革するのか)、What(何を利用するのか)という3つの質問が大切。そしてHowの段階に入ったときがGlobalLogicの出番である。われわれはこの領域で膨大な経験を持っており、Lumadaのポートフォリオを拡大し、お客様が次世代のプラットフォームを推進することを支援できる」(サマント氏)

Lumadaを活用しながら顧客DXを推進していく方針を示した

日立ヴァンタラ:データドリブン型企業への転換を強力に支援

 日立ヴァンタラのカンディア氏は、産業界において「データドリブン型経営」への変革が劇的なスピードで進展しており、同社はそれを支援することができると強調する。

 「多くのリーダーは、データドリブン型経営が組織を成功に導く鍵になることを理解している。そして、DX成功のためにはデータドリブンな製品や体験を創り出す必要があり、そのためにはそれを支える強力なデジタルインフラが不可欠となる。さらにデジタル体験の実現には、優れたソリューションや世界に通用するアプリも必要である。日立ヴァンタラは、デジタルソリューション開発における専門的知識や技術を持っており、データドリブン型経営への変革を支援できる」(カンディア氏)

 具体的な顧客事例として、コロナ禍における医療の逼迫を防いだ英国サルフォードNHS病院をあげた。日立ヴァンタラでは、Azureを活用したデジタルコントロールセンターを開発し、患者の病状の管理だけでなく、病床や医療機器、手術室の状況などをリアルタイムで把握。最適な医療提供を実現するとともに、効率を15%改善。コスト削減も実現したという。

 また、違法な森林伐採の防止活動を行う米NPOのRainforest Connection向けには、太陽光発電により動作し森林内に設置できる音響分析ソリューションを開発。これは動物が通常発する鳴き声と、侵入者が近づいたときに発する鳴き声の違いをエッジデバイス上で検知し、レンジャー(自然保護官)に通知するソリューションだ。AWSを活用して警告検知精度を96%にまで高め、違法な伐採の予兆を捉えて熱帯雨林の保全につなげているという。

 日立ヴァンタラは2019年、米フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドリゾートと米カリフォルニアのディズニーランドリゾートにおいて、アトラクション/ショーのオフィシャルアナリティクスプロバイダーに認定されている。ここでは人気アトラクションの運営効率の最適化を目的に、Lumada DataOps Suiteとプレディクティブアナリティクスソリューションを導入し、アトラクション施設の稼働時間を最大化する支援を行っているという。

 「ディズニーのテーマパークは、それそれがスマートシティのようであることに気がついた。設備管理、公衆衛生、電気や水の供給、人やモノの輸送、セキュリティ、ヘルスケアなどの課題に対して、包括的に取り組むことができる。この事例から、日立が都市全体にどのように貢献できるかのヒントを得た」(カンディア氏)

 米ラスベガス市、インドのアンドラ・プラデシュ州、メキシコのテキーラ州で、スマートシティのプロジェクトにも取り組んでいるという。「他社にはない広いポートフォリオが日立の特徴。それを生かして、スマートシティの実現に貢献している」とカンディア氏は述べた。

日立グループにおける「街」全体のDX/スマートシティ事例

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