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焼きムラがおさえられ、味も変わった:

バルミューダ人気トースター、ひっそり大進化

2021年06月21日 11時00分更新

文● 盛田 諒 編集● ASCII

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BALMUDA The Toaster
発売中
実売価格2万5850円
バルミューダ

https://www.balmuda.com/jp/toaster/

 いきなり5Gスマホへの参入を発表して話題になったバルミューダ。京セラ製ということでどんなスマホか楽しみです。TORQUEのようにタフなモデルになるんですかね。

 バルミューダといえばトースター「BALMUDA The Toaster」。初代機が出てから使い続けています。青山の製品発表会で「うめー」と言いながら食べたトーストの味は忘れられません。バルミューダは期待の新星でした。洗練されたデザイン、得体の知れない熱がこもった寺尾玄代表のプレゼンに思わずのせられ、バルミューダはいつか日本を代表する会社になるんじゃないかと感じたことをよくおぼえています。

 6月17日、そんなバルミューダのトースターに新色が登場しました。昨年登場のベージュに続く新色のグレーです。

 実はバルミューダのトースターは昨年大幅リニューアルしています。リニューアルモデルはこれまでなかった「電源スイッチ」を追加するなど大きくデザインを変えていますが、実はヒーターの制御部分や、焼き網などの内部機構も大きく変わりました。他のメーカーなら変更点を「New!!」として発表するくらい大きなリニューアルです。

 実際に3年前から使っていた先代とトーストを焼き比べてみたところ明らかに味がよく、焼きムラも少なくなっていました。あらためて担当者に聞いてみたところ、ヒーターの制御を大きく見直したということ。ポイントは電圧です。

リニューアルモデル(左)、旧モデル(右)

トーストの焼き色がまったく違った

リニューアルモデル(左)の方が香ばしく仕上がった

焼きムラがおさえられている

 電圧は家庭によって微妙に違いが出るものといいます。電圧100Vの表記があったとしても、実際には家庭によって96Vや104Vだったり。そうした微妙に電圧が異なる環境下でも、焼きあがりの味にブレが出にくいよう調整したというのがリニューアルモデルです。

リニューアルモデル。中身は大きく変わっている

 「古い家屋だと電圧が低く出たり、新しいマンションだと電圧高めだったりすることもあり、実際弊社でも2階と3階で若干電圧が違うということが起きています。いかなる状況でも同じような『温め→焼き』のコンディション、つまり庫内を同じ温度帯、ヒーター点灯時間になるように調整しました」(担当者)

 BALMUDA The Toasterがトーストを焼く工程には、パンの中をふっくらさせて表面をきつね色に色づかせる「温め」、表面をサクッとした焦げ目をつける「焼き上げ」の2つがあります。温めの工程では外気温などの外部環境に左右されずに温度を調整することが要点で、バルミューダはこれを「完璧な温度制御」と呼んでいます。

 リニューアルモデルは1つめの「温め」工程で、必要な電気量の多寡を検出するようになりました。電圧が高い場合はヒーター点灯時間が短くなるので、焼き上げの時間も同じように短縮。加熱時間を調整することでどんな環境でも同じおいしさになるという理屈です。

 2枚焼きに対応して、焼きムラもおさえるようになりました。

 「旧モデルは1枚焼きで最高の焼き上がりを実現していましたが、リニューアルモデルは2枚焼き、連続焼きといったこれまでのお客様の声を生かしつつ、仕上がりのおいしい感動がそのままになるように設計しました」(同)ということ。裏面は香りが立つような焼きあがりになるよう調整されているそうです。

 外観で大きく変わったのはタイマーダイヤル。ダイヤルの中央に電源ON/OFFボタンがつき、最初にボタンを押して電源をオンにしてから操作するようになりました。以前はモードを選択してタイマーダイヤルをひねるだけだったので一手間増えました。モードダイヤルには「5cc」の表示が入っていて、水を入れるのを忘れないでね……とひかえめに主張しています。

旧モデルのタイマーダイヤル

新モデルのタイマーダイヤル。押し込み式の電源ボタンになっている

旧モデルのモードダイヤル。記号だけのシンプルな外観

リニューアルモデルのモードダイヤル。情報が加わった

お手入れもしやすくなっている

 中を覗くと、庫内の構造が変わってお手入れがしやすくなりました。

リニューアルモデル(左)、旧モデル(右)

焼き網とボイラーパーツの形状が変わり、取り外しやすくなった

 具体的には焼き網が取り外しやすくなっています。前までは焼き網を内部のフレームに出ているバネと扉のバネにひっかけるという手間がありましたが、今回は内部のフレームにポンと乗せるだけになり、操作のうえでもわかりやすくなりました。

リニューアルモデルの焼き網は載せるだけで取り外しやすくなった

 蒸気を出すためのボイラーパーツもはずして洗いやすくなりました。

リニューアルモデルのボイラーパーツは大きくなり、落下しにくくなった

 前まではボイラーカバーが手前に落下して取るのに苦労してしまうことがありましたたが、今回はカバーが大きくなって落下の心配がなくなりました。逆にこれまでの苦労は何だったんだというくらいお手入れしやすくなっています。

旧モデルはたびたび落下したボイラーパーツを引きあげる作業が必要だった

 日常的なお手入れは見た目をよくするだけでなく、製品寿命を長くするという意味もあります。

 「たとえば、毎日使うとその分使い込みは多くなりますし、毎日使わなくても例えばパンくずトレイについた汚れを放置すると反射が弱くなるのでパンの裏面が焼きづらくなるという現象も起きます。こまめにお手入れいただきお使いいただくとより長く、変わらぬおいしさを続けられますので、メーカーとしてはこまめなお手入れもしやすいように従来から工夫をしています」(同)

 3年使ったモデルと比べて、リニューアルモデルをあきらかに旨く感じたのは、性能の進化だけでなく経年劣化も大きかったのかもしれません。逆に考えると、お手入れが雑だと3年で性能が劣化することもあるということですかね。気をつけなければ……

一般的なトースターに近づいたところも

 一方、リニューアルによって少しさみしく思えたところもあります。

 1つは電源ボタンがついたことで、動作モード変更も時間設定もつまみを回すだけというシンプルさがなくなったこと。電源ボタンはアメリカ市場に参入する際、安全性を高めるためにつけられて、それが日本にいわば逆輸入されたもの。安全のためと思えば仕方ないですが。

 もう1つは扉を閉めたときにカシャンと網が鳴るようになったこと。これまでは網は扉内側に固定されていたので、音は鳴りませんでした。細かいところでは、扉を閉めたときわずかに銀色の接合部が見えるようになり、操作パネルや製品全体の情報はやや目立つようになりました。

旧モデルの焼き網を引っかけるのが面倒なフック。しかしこれがあるので「カシャン」という音がしなかった

旧モデルの天面。とてもささやかに調理時間が入っていた

リニューアルモデルの天面。文字が大きくなって読みやすくなった

 どれもほとんどの人は気にせず、私自身も数日で忘れてしまったほどの細かい変更点ですが、デザインを突き詰めた記号のようなトースターから、一般的なトースターに近づいたような印象がありました。

そろそろコーヒーメーカーに期待

 バルミューダはベンチャーという印象もだいぶ薄くなってきました。トースターはギフト需要が好調で、結婚祝いなどに選ばれることも増えているといいます。ブランドイメージが安定している証拠ですが、その中でもベンチャーらしい挑戦は続けてほしいなと感じます。

 バルミューダは年末までにスマホを発売します。かねてから出すと言い続けてきたコーヒーメーカーも今期中には発表するのではないかと予想しているんですがどうでしょうか。リニューアルしたトースターもなかなか良いですが、6年前、初めてトースターが出てきたときのような得体の知れない熱を感じさせられることを期待しています。

 

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