日本HPは5月31日、統合型セキュリティーソリューション「HP Wolf Security(エイチピー ウルフ セキュリティー)」を発表した。
HP Wolf Securityは、PC、プリンター、ハードウェアで強化されたエンドポイントセキュリティー・ソフトウェア、エンドポイントセキュリティー・サービスを統合したポートフォリオで、急増するサイバー攻撃のリスクからユーザーを保護する。
HP Wolf Securityは、ゼロトラストの原則に基づき、最先端技術を活用してIT部門の負担を軽減するという。自己修復するファームウェアから、メモリー内の侵害検知、仮想化による脅威の封じ込め、クラウドベースのインテリジェンスに至るまで、包括的な保護を提供する。新たに統合されたHP Wolf Securityポートフォリオは以下の通り。
・一部の個人向けPCに搭載のセキュリティー機能「HP Wolf Security for Home」と「HP Wolf Essential Security」ソフトウェアおよびサービス。
・すべての法人向けPCに搭載のハードウェアで強化されたセキュリティー機能「HP Wolf Security for Business」。
・中小企業向けの「HP Wolf Pro Security」、デバイス、ソフトウェアおよびサービス。
・エンタープライズおよび公共機関向けの「HP Wolf Enterprise Security」、デバイス、ソフトウェアおよびサービス。
HP Wolf Enterprise Securityに新しく追加された「Sure Access Enterprise」は、HP独自の隔離技術を採用し、クリティカルなアプリケーションをユーザーのPCに潜むマルウェアから保護する。HP Sure Accessは、重要なアプリケーションを保護できるハードウェアで強化されたマイクロ仮想マシン(VM)を構築し、アプリケーションとホストPCの間に仮想エアギャップを形成する。アプリケーションとデータは、ホストOSと、そこに不正侵入した可能性がある悪意のあるアクターから、安全に隔離される。
中小企業向けのHP Wolf Pro Securityは、マイクロ仮想化ベースの脅威封じ込め、次世代ウイルス対策ベースのマルウェア対策、アイデンティティー保護をすべてHPのハードウェアセキュリティー機能に統合し、IT部門による取得、導入、運用が簡素化された保護を提供する。
テレワーク、そしてPCの私的利用が増える中で重要性を持つソリューション
日本HPは6月10日に記者説明会も開催した。
説明会の中で、日本HP 専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏はサイバー攻撃でIT環境が停止するビジネスインパクトは大きく、何かが起こった後の回復力が重要であるとした。HPが世界7ヵ国、8443人のオフィスワーカーと1100人のIT部門に対して実施した調査(PDF)では、PCなど会社貸与機器の社外・私的利用が過半数を超え、社外から企業データにアクセスする回数も増加傾向にある。結果、標的型攻撃に対する脅威が上がり、コロナ禍におけるサイバー攻撃件数も200%増と高い水準で増加している。
HP Wolf Securityを担当する米国本社セキュリティ部門グローバル責任者のIan Pratt氏は、Bromiumの設立者でHPによる2019年の買収後、同社に加わっている。Pratt氏によると、PCのハードウェア(BIOSやUEFI)の保護もこなせる信頼性の高いソリューションになっている。また、同氏が過去に取り組んだ仮想化技術「Xen」のノウハウを生かし、ゼロトラスト(何も信頼しないを前提に講じるセキュリティ対策)の考え方に基づき、仮想マシン上に隔離した状態でプログラムの実行を行い、安全性を保つ点がポイントになっている。
また、クラウド上にバックアップデータを保持することにより、マルウェアの被害を受けた後も、短時間での復旧が可能である点も強調した。