高速化が進んだ「BlueStacks 5」はスマホゲームがPCで最も快適に動作するかを比較して検証

2021年05月12日 11時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII
提供: BlueStacks

CPU使用率やRAM使用率は大幅に削減
起動速度も最も高速に!

 さて、そんなBlueStacks 5だが、実際のところどの程度性能向上を果たしたのだろうか。実際に少し古くはなったが筆者の自宅の自作PC環境で試してみた。検証環境は以下のとおり。

【検証環境】
CPU AMD「Ryzen 7 3800X」
(8コア/16スレッド、3.9~4.5Hz)
CPUクーラー AMD「Wraith Prism」
ビデオカード ASUS「ROG-STRIX-RX5700XT-O8G-GAMING」
(Radeon RX 5700 XT、8GB GDDR6)
マザーボード MSI「MPG B550I GAMING EDGE WIFI」(AMD B550)
メモリー G.Skill「Trident Z Royal Gold F4-3200C14D-32GTRG」
(DDR4-3200 16GB×2)
ストレージ Seagate「FireCuda 520 ZP2000GM30002」
(2TB SSD、NVMe対応/M.2規格/PCI Express Gen4×4接続)+
ウエスタンデジタル「WD80EFZX-68UW8N0」(8TB HDD)
電源 コルセア「SF750 Platinum」
(750W、80 PLUS PLATINUM)
OS Windows 10 Pro(64ビット)

筆者の自宅のメインPCで検証。やや型古にはなったが、未だに近い構成が売られている現役のミドルハイのゲーミングPC相当の性能を有する

 まずは、競合のAndroidアプリプレイヤーとの起動時間を比較。いずれも検証した2021年5月3日においての最新バージョンを使用した。バージョンはNoxPlayerが7.0.1.0123、LDPlayerが4.0.55、MEmu Playが7.5.0、BlueStacks 4が4.280.1022。

 いずれもCPUの使用コアは4コア、RAMは4GB、解像度は1920×1080ドット(ピクセル)、フレームレートは高フレームレートを有効にし、垂直同期はオフ、端末はSamsung Galaxy S10、グラフィックレンダラーはOpenGLで統一した。

 ただし、ディスプレーのDPIは、解像度に紐づいているプレイヤーもあって統一できなかったが、BlueStacksに関しては240DPIにして計測した。また、BlueStacksのグラフィックエンジンモードは「互換性」にし、ASTCは無効にしている。

 各プレイヤーのショートカットをクリックし、ホーム画面のアイコンが全て表示された時までの時間をストップウォッチで3回計測し、平均値を算出している。

 プレイヤーの起動時間は、公式で示されたとおり、BlueStacks 4よりもBlueStacks 5は、実際に40%ほど早く、他のプレイヤーよりも明らかに速いと体感できる。

 一方、いくつかゲームの起動時間をあらゆる方法で試してみたが、ゲームによって早さは異なり、BlueStacks 5が最も速い場合もあれば、BlueStacks 4よりも遅い場合もあった。アプリ起動に関しては、DPIの違いや細かなグラフィック設定、ビデオカードとの相性にもよるのかもしれない。

 AMDやNVIDIAがドライバーにてPCゲームの最適化を常に行なっているのと同じく、Androidプレイヤーごとの最適化状況にも左右するかと思うので、機会があれば最適化したゲームの情報も聞いてみたいところだ。

 ではRAM使用率に関してはどうだろうか。まずは各プレイヤーを起動し、その際のCPU使用率、RAM使用率、GPU使用率をチェックしてみたい。いずれもPCの起動後、ある程度の常駐ソフトを止め、セキュリティーソフトの支援機能もオフにした状態で計測した。3回計測し、明らかにおかしい結果以外に最も良い結果のものを採用した。

BlueStacks 5起動時の使用率

BlueStacks 4起動時の使用率

NoxPlayer起動時の使用率

LDPlayer起動時の使用率

MEmu Play起動時の使用率

 どのプレイヤーも起動するまでの間は、瞬間的にCPU使用率が跳ね上がり、使用率の変動が激しいので、上の画像は起動が完了して使用率が下がった際の各アプリの使用率だ。赤で囲った部分が、各プレイヤーで使われているプロセスと思われる。

 このほかに、ネットワークの使用によりサーバーとのやり取りのプロセスが起動する場合もある。数値は毎回一定ではなく、かなり揺れ幅があるので参考程度として欲しい。

 起動完了後も数値の変動は行なわれるし、ネットワークなどの環境によっても異なるため相対評価はし辛いが、たとえばBlueStacks 4を使用している時は、「BlueStacks Android Host」や「BlueStacks Agent」などが動くこともあり、メモリー使用量が350MBを超えることもあった。

 しかしながら、BlueStacks 5は70~130MB以下に収まり、「メモリ解放」をすれば、さらにメモリー使用量が下がる。

 また、参考までにYostarの「ブルーアーカイブ」をプレイした際の使用率もチェックしてみた。「特別依頼」の「クレジット回収」ステージ01「スランピア広場」での戦闘時の状態をタスクマネージャーで確認。こちらも3回計測し、最も良い結果を採用している。

ブルーアーカイブは、プレイヤーが学園都市「キヴォトス」の先生になり、生徒たちと共に問題を解決していく学園×青春×物語RPG。戦闘パートでは3Dで描かれ、コミカルに動くキャラクターの可愛らしさなどが魅力

BlueStacks 5で「ブルーアーカイブ」プレイ時の使用率

BlueStacks 4で「ブルーアーカイブ」プレイ時の使用率

 BlueStacks 5ではメモリー使用率が300MB前後、GPU使用率が4%付近だったところ、BlueStacks 4ではメモリー使用率の合計が1000MB前後で、GPU使用率が16%ほどだった。メモリー使用率に関しては、公式が公開している最大50%減に近い結果となった。

 競合はNoxPlayerが最も軽くメモリー使用量は400MB前後、LDPlayerとMEmu Playが600MB前後ほどとなっていた。ゲームによって結果は変わるが、BlueStacks 5はおおむねメモリー使用量は少なく、かつ“メモリ解放”機能を使うと使用量は都度減らせるため、メモリー容量の少ないPCで使いたい人には重宝するだろう。

 たとえば、スマホ用のRPG「黒い砂漠MOBILE」をBlueStacks 5でプレイしたところメモリー使用量が550MB以上だったが、「メモリ解放」機能を使用したら70MB以下まで下がった。

左がメモリ解放前、右がメモリ解放後

 さらにもうひとつの新機能であるエコモードを使ったところ、よりCPU使用量とメモリー使用量が抑えられた。エコモードでは任意にフレームレートを指定&サウンドをオフにして、より動作を軽量化する。デフォルト設定では5fpsが指定されているが「黒い砂漠MOBILE」では、あまりにも動作がカク付いてまともに操作できなかったので、10fpsで最低限の動作を確保して使用した。

 もちろん、これはアクション性の高いゲームを自分で操作する際に使用するには向いていない。フルオートで長時間ゲームを動かす際や、マルチインスタンスで複数のゲームを同時にプレイする時に、動作が重くなり止まってしまうのを避けたい時などに効果を発揮しそうだ。

エコモードでは、fpsを1~30で指定する他、サウンドをオフにして軽量化&省電力化できるようだ

左がメモリ解放した後にエコモードを使用する前、右がエコモード使用後

ディスプレーいっぱいに同時に4つゲームを動かす際など、動作が重くなる時にこそエコモードは効果を発揮しそうだ

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