ITの本質は「情報の形を変化させる」ことだ
なぜスターバックスは手話が共通言語のサイニングストアを開店したのか
手話で注文するスタバが
国立市の新たなランドマークに
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社は2020年6月27日、聴覚に障がいのあるパートナー(従業員)と聴者が共に働き、主なコミュニケーション手段として手話を用いて運営する「スターバックス コーヒー nonowa国立店」を東京都国立市にオープンした。
手話を使って店員とやり取りする店舗をサイニングストア(Signing store)と呼ぶが、nonowa国立店は国内のスターバックスにおいて初のサイニングストアである。
今回はスターバックスから、サイニングストアのオープンに尽力した、nonowa国立店のストアマネージャー 伊藤真也氏とスターバックス コーヒー ジャパン 営業本部 ディストリクトマネージャー 向後亜紀氏のお二方に、サイニングストア立ち上げのきっかけからオープンまでの試行錯誤、そして運営における工夫などをお伺いした。
また、ブランド戦略の専門家であるfascinate株式会社 代表取締役社長の但馬武氏、そして電通イノベーションイニシアティブ プロデューサー 鈴木淳一氏にもご参加いただき、広く意見を交換していただいた。
聴覚に障がいのあるスタッフの発案から
3年半でオープン
―― まずはサイニングストアを立ち上げることになったきっかけから教えてください。
伊藤 2016年にマレーシアでスターバックス初のサイニングストアがオープンしました。その翌年8月に開かれた弊社CEOと聴覚に障がいのあるパートナー(従業員)のラウンドテーブルにて、「日本でもサイニングストアをぜひ作りたい。そこで働いて成長していきたい」という声が挙がりました。その声を受けて日本でもサイニングストアのプロジェクトが立ち上がり、さまざまな検討が進められるなかで私もその途中から参加したかたちです。
―― 2017年8月に動き出して開店が2020年6月27日ですから、およそ3年に渡る長期プロジェクトだったのですね。そして現在、開店から9ヵ月ほど経ちましたが、お客さんからの評判はいかがでしょう? サイニングストアであると理解したうえで来店される方ばかりではないと思いますが、エピソードなどあれば教えてください。
伊藤 サイニングストアだと知ったうえでいらっしゃる方からは、「もっと特別感のある店舗かと想像していたら、何も知らずに入ってしまうくらい自然で、他の店となんら差がないように作られているのがすごい。想像と違っていた」と仰っていただきました。そして、弊社他店舗のパートナーからも同様のコメントをもらいました。
実際、オープンから半年間は、サイニングストアだと知らずにいらっしゃる方が半数ほどで、『あれ? レジで通じ合わないな』ということもあったのですけれども、それで帰られる方はおられず、後から『こういうお店なのか』という気づきを得て、「よいお店だね」と声をかけてくださったりしました。特に外国の方は直接伝えてくださる方が多いですね。
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