パソコンを使う人すべての人がクリエイター
そうした市場変化を捉えて、日本HPが投入したパソコンのひとつが、「クリエイター PC」だ。同社では、2020年中に、13種類のクリエイターPCを投入した。2021年1月には、新たなクリエイターPCとして、ノートPCの「HP ENVY 14」を追加。HP初となるアスペクト比16:10の14型ディスプレイを採用したことで、コンテンツの表示領域が11%広くなり、生産性を向上できるという。
日本HP 専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏は、「クリエイターPCは、クリエイティブな仕事を専業としている特定の人を対象にした製品ではない。パソコンを使う人すべての人がクリエイターという認識でいる。つまり、『1億総クリエイター』である。プロフェッショナル、プロシューマ、カジュアルという3つの領域で提案をしていくことになる」と述べた。
プロフェッショナルは、クリエイティブで主な収入を得ている人たちで、企業内で働く人が中心になるという。同社の想定では、クリエイターのうち、23%をプロフェッショナルが占めるという。プロシューマは、副収入を含み、クリエイティブで収入を得ているフリーランスや、高度なスキルを持つコンシューマが対象となり、全体の12%の構成比だ。そして、カジュアルは、SNS 上での情報発信や、趣味としてクリエイティブな活動を楽しんでいる人たちで、65%を占めるという。この領域の人たちが最も多い。
「これまでスマホで行っていた動画編集作業などが、パソコンに移行してくることが見込まれる。写真や動画、レンダリングなどの重い処理を短時間で処理し、成果物を生み出したりするために、並列演算処理に優れたマルチコアプロセッサーを搭載しているほか、高解像度の写真、動画の編集を行えたりするグラフィックス性能を持つこと、そして、複数のアプリケーションを起動するための大容量メモリを搭載しているパソコンが求められている。こうしたパソコンに対するニーズは、2019年頃から出ていたが、自宅にいる時間が増えたことで、さらに加速している」とする。
その一方で、日本HPでは、利用者がどういう目的で使うのかをより明確化し、新たなコンピューティング体験を提供することに力を注いでいる。
クリエイターPCは、その提案のひとつで、そのほかにも、2019年に買収したBromiumの封じ込め技術を採用したセキュアなパソコン、GIGAスクール向けをはじめとする学習用パソコン、スケールアウト型で高度なGPU計算をするセンタライズワークステーションなどを用意。2021年には、コラボレーションに集中することができるカンファレンスPCを新たに投入することも明らかにしている。
「生活のあらゆるシーンでオンラインでの利用が増えることで、パソコンは、必要不可欠なツールになった。ハイエンドモデルにだけ搭載していたセキュリティ機能や高性能技術を、ボリュームゾーンの製品でも提供していく。2021年は、あらゆる働き方や暮し方を支える幅広い製品およびサービスポートフォリオを実現する」(日本HPの九嶋専務執行役員)と意気込む。
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