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2022年はいよいよ「レベル4ー有人地帯の目視外飛行」

活用広がる産業用ドローン、JUIDAが記者会見で明かした取り組み

2021年01月22日 21時00分更新

文● 貝塚/ASCII

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JUIDAが新春記者会見を開催し、2021年に計画している取り組みを明かした

JUIDAが新春記者会見を開催

 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(以下JUIDA)は1月21日、記者会見を開催。2021年のドローン産業とJUIDAの取り組み、重点事業を説明した。

 例年、JUIDAは毎年1月に「JUIDA 新春パーティ」として賀詞交換会を開催していたが、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大、また緊急事態宣言下ということを受け、オンラインでの開催となった。

 JUIDAは、国内の無人飛行機(ドローン)の新産業・市場の創造支援と、産業の発展への貢献を目的とし、2014年の7月に設立された社団法人だ。

2020年、コロナ禍でもドローン業界は伸びていた

 記者会見では、JUIDA理事長で、東京大学 名誉教授/東京大学 未来ビジョン研究センター 特任教授の鈴木 真二氏から、2020年の総括と、2021年の取り組みの計画が話された。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「ニューノーマル」を意識し、オンライン開催の講演会や展示会が増える中、JUIDAもオンラインで講座やセミナーを開催してきた。鈴木 真二氏は2020年の取り組みについて「日本全国の方とすぐに会えるようになった」「海外のカンファレンスや展示会への参加も容易になった」と話す。

 また、物資の配送、医療品や血液の輸送、測量、点検など、ドローンを活用したさまざまなサービスが活発に立ち上がっていることも、ドローン業界にとっての、2020年を含めた近年の大きなトピックになっているという。

2020年も「操縦技能証明証」と「安全運航管理者証明証」の取得が増え続けていたという

 さらにJUIDAは、JUIDA認定スクールで講習を受け、JUIDAが定める科目を修了した操縦士に「操縦技能証明証」を、さらに人航空機の安全運航管理に関する基本知識とリスクアセスメントを習得するなど、一定の基準を満たした操縦士には「安全運航管理者証明証」というかたちでライセンスを発行しているが、このライセンスの取得者は、コロナ禍でも増え続けていたことを明かした。

2021年は地方創生、海外展開、防災活用にもさらに注力

「プラント点検スペシャリスト」「森林測量スペシャリスト」を発行し、各産業でのドローン活用を推進する

 ライセンスの発行について、JUIDAは2021年も注力していく計画。「応用操縦士」として「プラント点検スペシャリスト」「森林測量スペシャリスト」の2種類のライセンスの創設を発表している。

 プラント点検スペシャリストは石油化学プラント点検に必要な技能を、森林測量スペシャリストは林業の現場での飛行方法や撮影、解析の技能を有していることを証明するもので、それぞれの業界でのドローンの活用を推進する狙いがある。

6月には、幕張メッセでドローンの総合展示会「Drone Japan 2021」を開催する

 6月には、幕張メッセでドローンの総合展示会「Drone Japan 2021」を開催する(オンラインでも同時開催)が、この中で、日本アマチュア無線振興協会、ストックフォトサービスを展開するアフロとも協業し、ライセンス保有者のビジネスマッチングを実施する計画もあるという。

 このほか2021年は、大分県ドローン協議会と協業しての「大分版Japan Drone」の開催や、事業へのドローン導入を推し進める産業人材育成事業の展開に加えて、インドネシア、マレーシア、サウジアラビアでの教育の展開、国際標準化機構(ISO)への操縦トレーニングシステムの提案など、地方創生、海外展開も推進する。

 また国内では、自衛隊と協業しての活動にも注目したい。JUIDAと自衛隊はこれまでも協業してきた背景があり、2019年2月には陸上自衛隊東部方面総監部と包括防災協定を締結しているほか、同9月、2020年9月には合同での防災訓練も実施している。

 今後も協力関係を強化し、災害時のガイドラインの策定、災害時のファーストレスポンダー(緊急時など、現場にいち早く駆けつけ、医療機関に引き継ぐまで負傷者の手当てや応急処置をする者)体制の整備などを実施していくという。

レベル4の実現に向けて

 無人飛行機の利活用は近年活発化しており、国際競争も激化している。JUIDAは、無人飛行機にかかわる最新動向や課題を、セミナーなどによって周知し、安全な運航ルールやマナーを「安全ガイドライン」として定めているほか、本記事でも解説したライセンスの交付、講習機関の認定といった幅広い活動を通して、無人航空機の運航にかかわる安全対策に注力している。

JUIDAの認定スクールは2020年12月時点で、238校を数える

 国内のドローンを用いた産業革命に関しては、官民の有識者、関係者が一体となり「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」として協議を行なってきた。その中で取りまとめられた「空の産業革命に向けたロードマップ」では、2022年の「有人地帯の目視外飛行(レベル4)」を目指す計画が示されている。

JUIDAは、記者会見の中で、2021年を「ドローン災害活躍元年」とした

 現在は、レベル4の実現に向けた法改正の準備が進められている段階で、JUIDAも、この官民協議会で積極的な提言を行なっているのだという。

 いよいよ来年に迫ったレベル4実現の前年となる2021年は、ドローン業界にとって、これまで以上に重要な年になりそうだ。JUIDAは、公式サイトを通じてセミナー情報やイベント情報を積極的に開催しているので、興味のある読者、ビジネスへのドローンの活用を考えている読者は、本記事と合わせてチェックしてほしい。

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