このページの本文へ

山根博士の海外モバイル通信 第529回

新たな折りたたみスマホが中国から登場、32万円の本革張り高級モデル

2021年01月08日 10時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

折りたたみスマホがまたも登場

 折りたたみスマートフォンはサムスン電子、モトローラ、Royoleが2020年に新型モデルを投入しました。シャオミやOPPOも開発中とされており、2021年はさらに数が増えるかもしれません。しかし、無名なメーカーから突如折りたたみスマートフォンが登場したのです。もちろんそれは中国から。高級スマートフォンを手掛けるKretaから「V11V」が発表されています。

KretaのV11V

 Kretaは2017年から高級スマートフォンを中国で販売しています。イギリスブランドとアピールしていますが、実際のところは中国のみで製品を展開、中国で製品が作られています。とはいえ、本体は本革を貼り付けた本物・高級志向の製品であり、本気で作られた高品質なスマートフォンを出してきました。2020年10月に発売された「M7」は7.2型ディスプレーにチップセットはMediaTekのHelio P70を搭載、カメラは3600万画素+600万画素+30万画素という構成ながら、子牛の本革仕上げで価格は9999元(約16万円)もします。

本革仕上げで約16万円のM7

 V11Vもただの折りたたみスマートフォンではなく、やはり背面は本革仕上げ。さらに畳んだ時に端に並ぶ4つのカメラの下には24金のロゴプレートも貼り付けられています。

24金プレートも並ぶ高級仕上げ

 V11Vの価格は19999元(約32万円)。高級仕上げのスマートフォンならではの価格でしょうか。しかし、高級仕上げの折りたたみスマートフォンの価格としてはそれほど高いものではないかもしれません。サムスンのブランドコラボモデル、Galaxy Z Fold2のThom Browneバージョンは3299ドル、約34万円ですからそれと変わらないのです。

背面の革は手作業で貼られているのだろうか。とにかく高級な作りだ

 ほとんど海外では知られていないKretaが、いきなり折りたたみスマートフォンを出すとは不思議ですよね。Kretaはこれまで数モデルしかスマートフォンを出していません。折りたたみディスプレーの扱いに長けているとは思えません。

 V11Vの主なスペックはチップセットがSnapdragon 865、ディスプレーは7.8型(1920x1440ドット)、たたんだ時は5.5型+5.4型となります。カメラは6400万画素+3200万画素+1600万画素+800万画素、バッテリーは4450mAh。本体サイズは約133.8×186.2×6.3mmです。そしてディスプレーは山折り式です。

改めてV11Vを正面から見る

 このスタイルのスマートフォンを出しているのはファーウェイとRoyoleのみ。よく見ると、カメラの並びなどはRoyoleが9月に発表した「FlexPai 2」によく似ています。では同じアングルから見てみましょう。

RoyoleのFlexPai 2

 両者、まったく同じですね。つまり、V11VはFlexPai 2をベースに本体に革を貼り付けたモデルということなのでしょう。なお、FlexPai 2はカメラの下にタッチパネルセンサーが搭載されていますが、V11Vはその部分が革に覆われ隠されています。もしかするとタッチセンサーの感度があまりよくなく、V11Vは機能をなくしているのかもしれません。

 Royoleは初代の折りたたみスマートフォン「FlexPai」の販売が好調だったとは言えず、1年後に後継機としてFlexPai 2を出したものの、まだまだ知られていないメーカーだけに販売先の拡大には苦労していると考えられます。折りたたみスマートフォンは価格に敏感な層はターゲットではなく、むしろ高価格でも買ってくれるユーザーが大半でしょう。そこであえて高級スマートフォンを展開するKretaとコラボして革張りモデルを出したと考えられます。

RoyoleとKretaのコラボは最高の組み合わせかもしれない

 今のところRoyoleもKretaもスマートフォンの販売は中国国内に限定されているようです。新型コロナウィルスの影響でまだしばらく中国へ渡航できないだけに、KretaのV11Vを実際に見ることは難しいでしょう。情報が自由に入手できる今の時代にもかかわらず、V11Vは「幻のスマートフォン」なのです。実機に触れたことのある人は、世界中探してもわずかしか存在しない製品になりそうです。

山根博士のオフィシャルサイト

「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!

 長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!

 「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!

→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む

ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン