海外白物家電でトルコ企業と提携
そして、12月16日には、トルコのArçelikA.S.(アルチェリク)と、海外白物家電事業における合弁会社を設立することを発表。海外家電事業のデリバリー強化を図る方針を打ち出した。ここでも、日立GLSは40%の出資比率に留まる。
アルチェリクはイスタンブールに本社を置く、1955年に設立した家電メーカーだ。トルコ最大の産業コングロマリットのひとつであるコチグループの1社で、現在、145カ国以上で事業を展開している。世界8カ国で22カ所の生産拠点を持ち、3万5000人以上の従業員を擁する。
谷口社長は、「両社は、サスティナビリティにおいて、共通のビジョンを持っている。また、日立GLSがASEAN、中東市場に強いのに対して、アルチェリクは欧州や南アジア、アフリカで実績を持つ。さらに、日立ブランドの家電がプレミアム製品であるのに対して、アルチェリクはマスブランドとしての製品展開を行っており、いずれも補完関係がある。競争力を持った家電のサプライチェーンを、グローバルに構築し、日立ブランドの家電を全世界で成長させることができる」と、谷口社長は合弁会社の成功に強い意思をみせる。
そして、「白物家電事業は、地域のニーズへのフィッティングが重要であり、ローカルのマーケティング機能、セールス機能が大切である。ここにおいては、独自ですべてを担うよりは、地域や製品の補完性があるパートナーとアライアンスを組むことが、アセットの有効活用につながる。投資効率が高くや短期間で展開でき、デリバリー力が高まる。補完性のある最適なバートナーを選定することができた」とする。
一方で、アルチェリクのハカン・ブルグルルCEOは、「アルチェリクのグローバル展開は、この10年間の着実な投資によって拡大してきた。今回の提携で、日立が持つ強いブランド資産と技術を活用でき、アジア太平洋という地域をカバーできるようになる。生産技術や製品技術、イノベーションを持ち寄り、それを活用していくことで合弁会社を大きく成長させ、日立ブランドを真のグローバルプレミアムブランドに進化させることができる」と語る。
海外白物事業の成長戦略を描ける体制が構築できといえる。
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