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独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第8回

アップル「M1」版Macは「触るまでなにもわからない」が、それでも見えてきたこと

2020年11月11日 17時40分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島 恵里子/ASCII

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触らないとわからない「互換」問題、
でもiOS/iPadOSアプリは問題なし!?

 問題は互換性だ。実のところ、ここが一番よくわからない。アップルはずっと自信満々だが、それを素直に信じていいものかどうか。

 ただ、現在のエミュレーション技術の水準を考えると、インテルからのエミュレーションで「使い物にならないほど速度が下がる」とは思えない。また、現在のMac用ソフトの場合、グラフィック描画はMetalでするのが基本であり、そのMetalを使う場合の動作はリスクが小さい。GPUパワーが劇的に向上している以上、エミュレーションのオーバーヘッドを超え、「エミュレーションなのにインテル版より速くなる」可能性も出てくる。ただしそれは、あくまでGPUの利用が多い場合だが。

 一方であまり心配していないのが、iOS/iPadOS用アプリの互換性だ。こちらはよりオーバーヘッドが低いし、過去からすでにUIKitの改良という形で先手を打っていたので、割とすんなり、M1版Macの上で多くのアプリが問題なく動くのではないかと思っている。

 ただし、モーションセンサーやLiDARなど、iPhone/iPadにしかないセンサーを使うアプリは別だが。

MacでのNeural Engine活用に期待

 個人的に面白いことになる可能性を感じているのが、「マシンラーニング用コアがiPadやiPhoneより使いやすくなるだろう」という点だ。

 M1には、A14と同じく、マシンラーニングを手助けするコアである「Neural Engine」が搭載されている。ソフト開発はMac上の方が容易なので、この機構をiPhoneとは別の形で活かすアプリが出てくると期待したい。

 実のところ、インテルも第10世代Core iプロセッサーからマシンラーニングの支援機構をプロセッサーの中に入れ、エッジAIに活用している。同じようなことを、より高効率にM1でできるようになる可能性は高い。だとすると、「タイプ音や空調などをノイズキャンセルするソフト」や「画像認識ソフト」などの可能性が高まる。

 開発者にはとても魅力的な部分になるかもしれない。

 

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