今回のひとこと
「おなかが空いたときに食べるパンと、ラーメンを食べておなかがいっぱいになったあとに見るパンでは、その価値はまったく異なる。価値は、タイミングや場所で大きく異なる。環境も考慮しながら、この価値を最大化することが、社会イノベーションである」
創業110周年を迎えた日立製作所は、同社最大規模のイベントとなる「Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE」を、2020年11月4日~6日まで、オンラインで開催した。
22回目となる今回は、140を超えるプログラムを用意。初日の基調講演に登壇した日立製作所の東原敏昭社長兼CEOは、「なぜ、いま社会イノベーションなのか~Society 5.0 for SDGs」をテーマに、同社が取り組む社会イノベーションに対する基本的な考え方や、それによって実現する人々の「Quality of Life(QoL)」の向上などについて言及した。
冒頭、東原社長兼CEOは「日立は、創業から現在まで、『優れた自主技術、製品の開発を通じて、社会に貢献する』という企業理念を掲げ、社会をより良くすることに力を注いできた。そして多くの変革を起こしてきた。現在も、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフという5つの分野から、世界中の人々の生活を、独自の技術によって支えている。日立はこれからもイノベーションの力で社会に貢献したい」と切り出した。
2015年に採択された温室効果ガス削減の国際的枠組みであるパリ協定が、2020年から実段階に入った。それに向けて、各国が取り組みを強化している状況に触れながら、「世界には『制約があり、限りがある』という事実が私たちに突き付けられている。その一方で、人間の欲望は留まることを知らない。大量生産、大量消費に慣れてしまった私たちは、制約のある環境、限りある資源のなかで、持続可能な社会を構築することができるのか。できるとすれば、どのような方法があるのか」と、オンラインの聴講者に問いかけた。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ