オンラインで3週間に渡って開催されたAWS Summit Onlineの基調講演
「今こそ学び、作るとき」 AmazonボーガスCTOがビルダーに向けてメッセージ
2020年10月01日 09時00分更新
2020年9月8日、アマゾン ウェブ サービス ジャパンは年次イベント「AWS Summit Online」を開始した。9回目となる今回はオンラインで開催。8日の基調講演ではアマゾン ウェブ サービス ジャパン社長の長崎忠雄氏と米Amazon.comのヴァーナー・ボーガスCTOが登壇し、コロナ禍で奮闘するビルダーに向けて熱いメッセージを放った。
AWSでコロナ渦を乗り切った日本企業の事例
コロナ渦の影響により、オンラインになった「AWS Summit Online」。8日・9日にライブ配信が行なわれ、150以上のセッションは9月30日までオンデマンドで配信された。また、20以上のセルフハンズオンが実施されたという。
冒頭、挨拶に立ったアマゾン ウェブ サービス ジャパン社長の長崎忠雄氏は、インフラ面の最新動向を披露した。現在、AWSは全世界で24のリージョン、77のアベイラビリティゾーン、216のエッジロケーションを保有し、直近ではアフリカ初となる南アフリカ(ケープタウン)とイタリアのミラノに新リージョンが開設され、インドネシア、スペインでも開設される予定。日本では2021年にフル機能を持つ大阪リージョンが開設される。「大阪や名古屋など関西のお客さまに低レイテンシでお使いいただける。東京リージョンとの連携も今後増えていくと予想される」と長崎氏は語る。
長崎氏は経営者やCxOと会う中で、スピードと変化への対応力が話題になることが多くなったと話す。そして、新型コロナウイルスへの対応を筆頭に、さまざまな変化が非連続的に起こる時代、アイデアや新しい価値をいち早く実行することが重要になる。こうした中、クラウドの真価とはインフラの構築や維持管理はAWSに任せることで、ユーザーが「お客さまへの価値創造に集中できること」だという。
長崎氏は場所を問わず、高い生産性を上げたユーザー企業としてダウジョーンズ、GEアプライアンス、丸紅、ヤマハ発動機などの名前を挙げる。また、塩野義製薬はAmazon Client VPNを用いることで、わずか3日間で3000名規模のVPN環境を構築した。また、プラスは仮想デスクトップ「WorkSpaces」とコンタクトセンターサービスの「Amazon Connect」を組み合わせることで、ノンストップで事業継続を実現した。
イノベーション創出とビジネス変革のためにAWSを活用する企業としては、パナソニックやヤンマー、リクシル、DeNAなどを挙げた。ソニーは電気自動車の基盤となる「VISION-S」でのデータ分析、同期、車両管理などの基本構造をすべてAWS上で構築。さらにトヨタ自動車はモビリティサービスのプラットフォーム開発のためにAWSとの提携を発表。「コネクテッドカーから集まる膨大なビッグデータの蓄積や利用基盤を強化している。今後は提携範囲をグループ各社に拡げ、車両ビッグデータを柔軟に、かつ安全に、早く利用できる環境を構築し、コネクテッド、自動化、シェアリングに向けた準備を加速している」とアピールした。
AWSはイノベーションをサポートするために、あらゆるワークロードをカバーする175のサービスを提供している。また、複数のサービスを組み合わせることで、より迅速に、効率的にサービスを開発することも可能だ。たとえば、データを保存するAmazon S3と機械学習を効率的に実現するSageMakerを組み合わせることで、機械学習によって得られた知見を、より顧客にパーソナライズしていくという工程をよりスピーディに実現できるという。
最後、長崎氏はAWS Summitのイベントについて簡単に紹介。「今日から3週間、好きなときにいつでも学べるオンラインのよさを活かして、みなさまがイノベーションを生み出すためのアイデアの種を1つでも多く見つけてほしい」とまとめた。