新型コロナウイルスの影響により延期が続いたSUPER GTの2020年シーズン。3ヵ月遅れとなったが、7月18~19日に富士スピードウェイで今シーズンの幕が上がった。その開幕戦はTOYOTAのお膝元でのGRスープラ夏祭りといった様相であった。ここではそのうち混戦のGT300クラスについてレポートする。
また、次のページではGT300クラスの全エントラントを紹介!
予選は着実に速くなってきた
65号車 LEON PYRAMMID AMGがポール!
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、無観客での開催となった今季のスSUPER GT開幕戦。開幕から4戦は午前中に公式予選、午後から決勝というワンデー開催となっている。GT300クラスは65号車 LEON PYRAMMID AMGがポールポジションを獲得。以下、11号車 GAINER TANAX GT-R、2号車 シンティアム・アップル・ロータスが続いた。
雨予報を覆し、晴天に!
だが波乱続々の決勝レース
気温26度、路面温度39度という暑さの中で行まわれた決勝レース。ホールショットを決めたのは、LEON PYRAMMID AMG(菅波冬悟選手)。しかし、2番手スタートのGAINER TANAX GT-R(安田裕信選手)が2コーナーを立ち上がったところでトップに浮上する。だが、同じタイミングでGT500クラスの12号車 カルソニック IMPUL GT-Rと64号車 Modulo NSX-GTが100Rで接触。カルソニック IMPUL GT-Rの回収のため、1周目からセーフティーカーが導入されることになった。
レースが再開されたのは6周目から。その後、9周目に88号車 JLOC ランボルギーニ GT3と87号車 T-DASH ランボルギーニ GT3の2台に相次いでタイヤトラブルが発生する。路面温度の高さが勝敗の行方を左右しそうな様相となってきた。
LEON PYRAMMID AMGとGAINER TANAX GT-Rによるトップ争いが続いていたが、そこに52号車 埼玉トヨペット GB GR Supra(川合孝汰選手)が接近し三つ巴の様相に。はじめに脱落したのはGAINER TANAX GT-Rで、15周目の1コーナーでトップを明け渡すと、埼玉トヨペット GB GR Supraにも抜かれてしまい3番手に。その後は、LEON PYRAMMID AMGと埼玉トヨペット GB GR Supraが1秒前後でバトルをするマッチレースとなった。
後方では22番手スタートだった55号車 ARTA NSX GT3が猛プッシュ。18周目の時点で10番手までポジションアップに成功する。しかし、セーフティカー解除時のリスタートで違反があったとして、ドライブスルーペナルティを受けて後退。
レース中盤に入り、先に動いたのはLEON PYRAMMID AMG。24周目にピットインし蒲生尚弥選手にステアリングを託した。その際、ロスタイム短縮に左側2本のみのタイヤ交換を試みたが、左リヤの作業に手間取ってしまうという痛恨のミスで大幅なタイムロス。
トップに立った埼玉トヨペット GB GR Supraは30周目まで引っ張ってピットインし、吉田広樹選手にチェンジ。タイヤ無交換でコースに復帰して、大きなアドバンテージを得ることになった。
今シーズンの初戦ということもあり、各所でトラブルが続出。まずは上位争いをしていた61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが、トラブルのためダンロップコーナー手前でストップ。続いて25号車 HOPPY Porscheもタイヤトラブルのためかスロー走行。さらにGT500の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rと、GT300の360号車 RUNUP RIVAUX GT-RのGT-R同士による接触事故が発生。これにより2度目のセーフティカーが導入された。
このセーフティカーが出動したことにより、独走状態だった埼玉トヨペット GB GR Supraは、2位との差を一気に失ってしまう。しかし43周目にレースが再開されると、埼玉トヨペット GB GR Supraは再び後続との差を広げにかかった。
後方では、56号車 リアライズ日産自動車大学校GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手)とLEON PYRAMMID AMG(蒲生選手)の4番手争いが白熱。その2台が残り10周のところで3番手の5号車 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号(坂口夏月選手)に追いつき、3台のバトルに発展。さらに10号車 TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R(石川京侍選手)、ARTA NSX GT3(大湯都史樹選手)も追いつき、ファイナルラップまで5台による3位争奪戦が繰り広げられた。
埼玉トヨペット GB GR Supra(吉田選手)が最後までミスのない走りを披露し、トップのままでフィニッシュ。チームに初優勝をもたらすとともに、JAF-GT仕様のGR Supraのデビューウィンを飾った。2位にはGAINER TANAX GT-R。白熱の3位争いはマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号がポジションを守り抜きった。
第2戦は8月8~9日に同じ富士スピードウェイで開催されるが、GT300クラスにおいて、タイヤ四本交換の義務化、ならびにJAF車両の燃料補給装置について変更が加えられた。これにより、JAF-GT300車両のうち、TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GTの2台、スバル BRZ、トヨタ GRスープラについては、これまで義務づけられていた内径27.5mmの燃料補給装置の流量リストリクターが免除。また、GT300マザーシャシーについては、燃料補給流量リストリクターの内径が27.5mmから31.2mmに拡大された。つまり、どちらも燃料補給が早く終えることができる。JAF-GT車両は車体の軽さを活かしたタイヤ無交換作戦が封じられたかわりに、給油速度のアップという恩恵があり、GT300の大半を占めるFIA-GT3勢はピットで前に出られてしまうことが少なくなるということで、コース上で決着をつけることを優先した判断だろう。
はたしてトヨタのホームコースで再びGRスープラが速さを見せつけるのか。それともライバルがストップをかけるのか。次戦もSUPER GTから目が離せそうにない!
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