Dropbox調査で4割がテレワーク実施、9割が「時短効果」を実感。一方で非実施者との意識差は大きく
コロナ禍で「1年分の問合せが1日で来た」テレワーク協会のDropbox活用
2020年07月27日 07時00分更新
Dropbox Japanは2020年7月13日、コロナ禍前後(2019年10月と2020年4~5月)に実施した「国内企業におけるテレワークに関する実態調査」の調査結果を報告する記者説明会を開催した。テレワーク導入率は地域や業種により大きな差が生じていること、コロナ禍で完全テレワーク(週5日以上実施)を経験した人は大きな「時短効果」を実感している一方で、経営者や60代以上の回答者はテレワークの効果に懐疑的であることなどが明らかになっている。
同説明会では、一般社団法人日本テレワーク協会 事務局長の村田瑞枝氏も出席し、Dropboxの活用事例を紹介した。コロナ禍の発生によって同協会の相談センターには大量の問い合わせが殺到し、事務局では出勤を控えつつも電話やメールでの対応に追われる事態になった。在宅勤務するスタッフ間の情報共有で“即戦力”として役立ったのがDropboxだったという。
本稿ではまずテレワーク協会 村田氏の説明内容から紹介し、その後にDropbox Japanによる実態調査結果のポイントをまとめる。
企業からの問い合わせが殺到、テレワークで“緊急事態”を乗り切るまで
日本テレワーク協会は、前身団体(日本サテライトオフィス協会、1991年設立)から数えて、およそ30年間の歴史を持つ社団法人である。2020年6月現在で379の企業/団体/自治体が会員となっており、日本社会におけるテレワークの普及推進を目的に活動してきた。
近年では政府による「働き方改革」のかけ声のもと、テレワークの導入促進も試みられてきたが、必ずしも社会全体を巻き込んだ動きにはなっていなかった。そうした状況を一変させたのが、新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う緊急事態宣言の発令だ。これにより、あらゆる業種/規模の企業が突然、全社規模でのテレワーク/在宅勤務を実施せざるを得ない状況になった。
「これまでテレワーク協会では、テレワーク導入に取り組む企業に対し、全体方針の決定やルール作り、ICT環境構築、試行導入と見直し、本格導入と、『こういうプロセスに沿ってテレワーク導入を進めてください』とアナウンスしてきた。しかし、今回は『何も準備していないのに、突然テレワークを実施しなければならなくなった』という会社が大多数だった」(村田氏)
そのため、テレワーク協会の相談窓口には「テレワークの始め方」から「助成金申請の方法」まで、企業から大量の問い合わせ電話やメールが殺到することになった。事務局自体も在宅勤務への移行が求められるなかで、「わかりやすく言えば『1年間分の問い合わせが1日で来た』状況。電話は昨年比で100倍、メールもふだんとはケタ2つ、3つ違うほど寄せられた」という。テレワーク協会としても、完全に想定外の事態だった。
こうした事態に対し、テレワーク協会では「テレワークで」解決する方法を考えた。まず、大量の問い合わせ電話については、NTTコム チェオが提供する在宅型のコンタクトセンターサービスを採用して対応を委託した。問い合わせメールへの対応もこのコンタクトセンターに委託したが、その中でDropboxを採用し、スタッフ間の情報共有に活用したという。
「問い合わせメールが1日数百件レベルで届き、それに対しもれなく返信しなければならなかった。個々のメールへの回答担当者をスタッフに割り当てていくのだが、大量のメールなので、メール転送だけで処理していると回答済みかどうかの履歴がわからなくなる。そこでまずメールに管理番号を振り、一覧表を作ってDropboxでスタッフ間共有し、回答履歴を管理した。この仕組みによって、短い期間で数千通の問い合わせメールに対応することができた」(村田氏)
なぜDropboxだったのか。この点について村田氏は、急を要する事態のためとにかく短期間でスタートする必要があり、そのためには、たとえITが苦手なスタッフでも「説明なしで使い始められる」ツールでなければならなかったと説明する。実際に、Dropboxは導入説明なしで利用開始できたという。
今回、幅広い企業がテレワーク/在宅勤務を経験したことを受けて、今後は、これまでテレワークが十分に浸透してこなかった中堅中小企業層や地方へも普及が拡大することを期待していると、村田氏は語った。ただしその阻害要因となるのが“ITが苦手な層”であり、そうした層の従業員でも簡単に使えるDropboxのようなツールが、今後のテレワーク普及/発展の鍵を握るのではないかとコメントしている。
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