このページの本文へ

「電子署名」と「ファイル共有」、テレワークの2大問題を解決する2つの新サービスを発表

Dropboxと統合できる電子署名サービス「HelloSign」国内提供開始

2020年10月05日 07時00分更新

文● 指田昌夫 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 Dropbox Japanは2020年9月30日、コロナ禍で増大したテレワークの課題に応える2つの新サービスを提供開始した。Dropboxのドキュメントストレージと統合されたクラウド電子署名ソリューション「HelloSign」と、企業従業員全員ぶんのDropboxアカウントを提供する「Dropbox Business エンタープライズ全員パック」の2つだ。

クラウド電子署名ソリューション「HelloSign」の国内提供を開始。単体利用できるほかDropboxドキュメントストレージとも統合されており、ドキュメント電子署名のワークフローをDropbox上で完結できる

Dropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏、同社 パートナー事業部長の玉利裕重氏

テレワークはできても「実施日数を増やせない」企業の課題とは

 同社は今年5月、国内企業1000社に対してテレワークに関する実態調査を行った。それによれば、この調査時点で週1日以上のテレワークを実施している企業は全体の約4割で、残り6割は実施していなかった。さらに、実施していた企業では「週に5日以上」「週3~4日」「週2日以下」がそれぞれ3分の1ずつという割合だった。

 「コロナの感染拡大防止という非常事態下で、テレワークの利用が一気に広がったのは間違いない。だが調査結果を見ると、実態は、まだ多くの企業でオフィスに出社している社員が多いことがわかる」(Dropbox Japan代表取締役社長の五十嵐光喜氏)

 同調査では、その理由についても掘り下げている。テレワークを実施している企業のうち、実施日数が少ない企業(週4日以下)に対して、テレワークで不便なことは何かを聞いた。その結果は、「社内のファイルへのアクセス」「印鑑を押す書類」「チームメンバーの業務の可視化」という回答がトップ3だった。

テレワーク実施企業のうち、実施が週4日以下という企業に聞いた「テレワークで不便なこと」トップ3

 「テレワークにおける課題として『社内ファイルの利用』があるのは、昨年の調査でも明らかになっていたが、コロナ禍でそれがさらに大きな問題となった。加えて、全面的なテレワークによって『書類の押印』という新たな問題も浮上している」(五十嵐氏)

 テレワークを実施できてはいるものの、社内ファイルの利用や紙書類への押印などのために、週に何日かは出社しなければいけない。そのことがテレワークの実施日数を押さえ込んで一因であるという指摘だ。

電子化、デジタル化が遅れている行政においても、押印の廃止/電子署名の活用という動きが始まりつつある

 特に、電子署名については企業側の関心も高い。同社が5月から9月の間に、セミナー参加者に実施したアンケートでは、「電子署名をすでに導入している」という企業は8%と少なかったが、半数以上の企業が「導入を検討」または「今度導入予定」と答えた。

 日本でも電子署名市場が急拡大するとみられるなか、同社が国内提供を開始したのが、電子署名サービス「HelloSign」だ。

Dropboxに保存したドキュメントを同じ操作画面内で電子署名できる

 HelloSignは、昨年Dropboxが買収したクラウド型の電子署名サービスだ。150カ国以上、600万ユーザー以上の利用実績があり、買収後、Dropboxでは多言語対応を実施してすでに22言語での提供を開始している。

 HelloSignは単体でも利用できるが、Dropboxのサービスとの統合も実現している。これにより、Dropboxの操作画面の中で自身が電子署名をしたり、第三者に署名を依頼したりするワークフローを管理できる。

 他の電子署名サービスとの大きな違いは課金方式だ。従来のクラウド電子署名サービスは、署名対象の書面ごとに従量課金するものが多い。そのため、たとえば多数の顧客に契約書を送信して署名してもらう場合などには利用コストが増大する。一方で、HelloSignは「署名依頼者の数」ベースの課金となっており、依頼者が1人であれば、何人に書面を送っても課金額は1単位で済むという。

 「たとえば、大学から入学者に電子署名付きの文書を一括送信するようなケース。(従来型の)従量課金ではコストが課題だったが、HelloSignならばそうした問題を解決できる」(ソリューション アーキテクトの保坂大輔氏)

 ほかにも、コンシューマー向けサービスで契約する利用者が何人になるか想定できないような場合でも、HelloSignならば電子署名を導入しやすいメリットがあるという。

 「電子署名は国内でも法整備が進み、企業間の契約書だけでなくさまざまなサービス利用に使われるようになる。HelloSignはパートナーを通じたホワイトラベル提供にも対応しており、拡大する電子署名市場で利用を伸ばしていきたい」(保坂氏)

 HelloSignの利用料金は、標準的なケースで1ユーザー年額3万4800円(税抜)となっている。

全社員にDropboxアカウントを配布、容量を共有する新サービス

 国内企業におけるテレワーク促進のために提供を開始したもう1つのサービスが、「Dropbox Business エンタープライズ全員パック」だ。サービス名に漢字が含まれるのには理由があるという。

 「本サービスは日本法人からの発案で、サービス提供も日本市場向けが先行して開始される。国内市場の調査などで出てきた企業の課題に応えるものだ」(パートナー事業部長の玉利裕重氏)

 これまでDropboxは利用者アカウントごとの契約だったが、この全員パックでは、最初から企業の全従業員ぶんのアカウントを提供する。ストレージ容量は、最初は全従業員で1TBを共有するかたちで利用開始し、その後は必要に応じて1TBずつ増やしていく契約となっている。

「全員パック」の概要。全従業員にアカウントを配布して、共有容量1TBの共同作業環境を提供。容量は必要に応じて追加していける

 「テレワークの課題のトップである社内のファイル共有は、全社員にとっての問題。それを解決するために、全員がDropboxを利用できる環境を提供するのが本サービスの狙いだ」(玉利氏)

 本サービスの利用価格は、企業の従業員数によって変わるため、都度見積を行って決めるという。また、今回発表したHelloSignと全員パックの提供は、同社の販売会社であるSB C&Sを通じて行う。SB C&Sは、Web会議システムZoomの国内販売会社でもあり、DropboxとZoomの同時導入も推進している。

テレワーク時代における業務SaaSの課題。「誰でも」「社内と同じように」使えることも必要だ

カテゴリートップへ

ピックアップ