業界人の《ことば》から 第399回
新型コロナウイルスに関する危機管理広報初動マニュアル
新型コロナ禍の情報提供はどうあるべきか? 信頼できる情報と広報マニュアル
2020年07月17日 09時00分更新
感染者情報は個人情報と結びつきやすい
マニュアル制作に携わった井之上パブリックリレーションズ 執行役員の髙野祐樹氏は、「新型コロナウイルスの感染者情報は、個人情報と結びつきやすい。個人情報を保護するという観点から、出すべき情報を決めたら、それ以外は出さないことも大切である。出す情報はなにか、出さない情報はなにか、ということをしっかりと決めておく必要がある」とする。
企業のなかには、社会活動には大きな影響がないにも関わらず詳細を公表するケースがある一方で、公表しなくてはいけないのに、それをしなかった事例も出ている。
そして、いまはSNSの利用が浸透しており、その影響も考慮する必要がある。
味覚や嗅覚に異常があるのに友人とのバーベキューに参加したり、陽性であるのに高速バスを使って移動したりしたことで、感染拡大につながった例では、情報を出しすぎたことで個人が特定されて、その個人がSNSなどでバッシングを受けるという事態も発生している。
「どこまで情報を出すべきなのか。この広報初動マニュアルをベースにして、企業広報の考え方や姿勢を統一するきっかけにもつなげたい」とする。
PRは人・モノ・金・情報に続く、第5の経営資源
井之上PRでは、「パブリックリレーションズ(PR)は、人、モノ、金、情報に続く、第5の経営資源」と位置づけている。
鈴木社長は、「PRは、経営の心臓部。緊急事態が発生しているいまだからこそ、経営層の考え方や思いを、リアルタイムに、ステイクホルダーである従業員に伝えることがより重要である。それを行わないと、企業の血液の流れが滞ってしまうのと同じ状態に陥る」とし、「リモートワークを強いられているなかで、経営陣がどんな思いで新型コロナウイルスに立ち向かっているのか、現場に対してどんな手を打っているのかといったことを社内の隅々にまで知らせることは、PRの観点から重要なことになる」とする。
対外的なメッセージ発信だけでなく、社内向けたメッセージ発信も、いまは重要だという。
「新型コロナウイルスに関する危機管理広報初動マニュアル」は、広報部門だけでなく、経営層やマーケティング部門、営業部門などにといっても、いまの時代における動き方を示すヒントになりそうだ。
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