●ピークパフォーマンスではiPhoneがMacを上回る
スマートフォンは常時電源オンかつ超低消費電力が重要な性能となり、A13 Bionicも2.65GHzの高性能コアと1.8GHzの高効率コアに分かれ、パフォーマンスが必要なときにフル回転させる仕組み。簡単に言えば、処理もグラフィックスも通信も含め「サボる技術」に長けています。
A13 Bionicにもなると、ピークのパフォーマンスは2020年モデルのMacBook Airに搭載される第10世代クアッドコアIntel Core i7(10W)を軽く上回るほど。また4Kビデオ編集のように非力なマシンでやろうとは思わなかった処理も、iPhoneやiPadは軽快にこなしてくれます。
たとえばMacBook AirのようなモバイルマシンをAシリーズチップに載せ換えれば、パフォーマンスを犠牲にせず、むしろメディア処理などの性能を向上させ、かつバッテリー持続時間を例えば丸1日へと延ばせる可能性もあるというわけです。そしてなによりIntel都合でマシンのアップデートが遅れる心配もありません。
ARM Macの情報と同時に、Intelからは「Lakefield」という高性能省電力のCPUが発表されました。高性能・高効率の2種類のコア構成で、5コア、7WのTDP(熱設計電力)。Windows PCを丸1日動作させることができるようにすることを目指しています。
それでもLakefieldは10nmプロセス。A14では5nmプロセスへと更に微細化されると見られており、処理性能と省電力性の面で有利な微細化は自社設計チップの方が進みます。となると、もし新しいチップを採用するとしても、Intelチップが採用されることは難しいと考えても良いのではないでしょうか。
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