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顧客企業のDXを支えるインフラ/アプリ基盤/サービスを一体型ソリューションとして提供

「FUJITSU Hybrid IT Service」発表、複雑化するITの全体最適化狙う

2020年06月12日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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マルチクラウド/DC間接続、コンテナ基盤、クラウド移行支援サービスまで

 DEXネットワークは、データセンター間やマルチクラウド間の閉域インターコネクトとして、2020年第2四半期から新たに提供するサービス。業務システムとサービス基盤を接続する複雑なネットワーク設計を行わずに、さまざまな最新技術やサービスを、ハイブリッドIT環境にスムーズに取り入れることが可能になる。

 「DEXネットワークは、インフラ基盤のネットワーク接続が複雑化している課題を解決する閉域ネットワーク基盤。DEXに接続するだけで、短納期で簡単に、さまざまなクラウドサービスを安全に利用できるようになる」(島津氏)

 また、統合マネジメントポータルは、マルチクラウドやオンプレミス環境などの異なるIT基盤の構築、運用作業を統合制御したり、可視化、自動化したりするマネジメントポータルを実装。ハイブリッドシステムの構築、運用の迅速化とともに、負荷軽減やコスト抑制を実現する。

 「パブリッククラウドやプライベートクラウドといった基盤ごとに、属人的で、異なる対応をしてきた設計、構築、監視、運用を自動化し、全体の統制状況を可視化して、即時に実行できるサービスポータルとなる。クラウド基盤や新たなクラウドツールなどとAPI連携ができるアダプタを随時開発する」とした。

「DEXネットワーク」「統合マネジメントポータル」の概要

アプリケーションレイヤーのデジタルアプリケーションプラットフォームでは、「Red Hat OpenShift」ベースのコンテナプラットフォームと、業界標準のOSS、ISV、富士通のミドルウェアを組み合わせて提供する。ベンダーに依存しないオープンで高信頼な環境で、クラウドネイティブなアプリケーション開発や既存アプリケーションのコンテナ移行を支援するとしている。

 マネージドサービスレイヤーでは、既存システムを最適なハイブリッドIT環境へ移行する際に必要なアセスメント、コンサルティング、移行、構築、運用までをトータルで提供。システム無停止でのクラウド移行の実現など、顧客の現状や目的に応じた現場起点での支援を行うという。

「従来の受託型SI/個別サービスから、徐々にこの新サービスへと集約していく」

 FUJITSU Hybrid IT Serviceの各種サービスや関連技術は、2つの販売モデル(料金モデル)で提供される。

 1つめの「プレフィックス型サービス」は、これまでSEが顧客ごとに個別提供してきた役務型サービスを、プレミアム/スタンダード/ベーシック/バックアップという4つのパッケージメニューとして提供する。事前に構築/運用サービスの使用や価格が明示されており、個別設計もないことから、顧客企業は無駄なく迅速にサービス適用が可能になる。なお役務メニューは173項目を用意しており、自由に組み合わせることもできる。2020年第2四半期からの提供開始。

 もう1つの「サブスクリプション型サービス」は、プライベート基盤や役務サービスに対してパブリッククラウド型の従量課金モデルを適用するもの。クラウド/プロダクト/サービスを一括契約し、従量課金+固定課金の仕組みで利用できる。これにより、ITサービスを必要なタイミングで、必要なぶんだけ利用できることになり、コストの全体最適化を実現できる。2020年下期から提供する予定だ。

 「これまで、契約形態や課金モデルがそれぞれ異なり、管理が複雑になっていた課題を解決できる。たとえば、短期的に価値創出の見極めが必要なDXプロジェクトでは、短期での解約も事業拡大に合わせた迅速な拡張も可能な従量課金を選択。他方で、長期的に安定した価値創出が求められる基幹システムのモダナイゼーションでは、定額型の課金モデルが選択できる」(島津氏)

 これらの新たな販売モデルは、パートナー経由でも利用できるようにする。

新たな販売モデルとしてプレフィックス型/サブスクリプション型サービスを用意した

* * *

 島津氏は、富士通が1970年のインフラメンテナンスサービスを皮切りに、データセンターサービス、ネットワークサービス、クラウドサービスを提供してきた実績とノウハウを、今回のFUJITSU Hybrid IT Serviceに集約したと説明した。

 富士通では、FUJITSU Hybrid IT Service関連ビジネスで、2022年度までに売上高1兆円を目指す考えを示している。島津氏は「これまでの富士通は受託型SIによる個別サービスを提供してきたが、今後は徐々にFUJITSU Hybrid IT Serviceへと集約していく」と述べたうえで、「2022年度にはハイブリッドIT市場において25%のシェア獲得を目指す。大きな成長市場でトップシェアを狙う」と強調した。

 富士通では、DXを含むテクノロジーソリューション事業全体で2022年度に3兆5000億円の売上を見込んでおり、その約3分の1をFUJITSU Hybrid IT Service関連ビジネスで占めることになる。

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