省スペースで使えるコンパクトサイズのプリメインアンプ
ネットワークオーディオやドルビーデジタル音声にも対応する多機能アンプ エラック「DS-A101-G」
2020年05月30日 15時00分更新
さらに上を目指して、サブウーファーを追加してみた
今度は、DS-A101Gの備えるサブウーファー出力を使い、2.1ch再生を試してみた。
小型スピーカーでより豊かな低音を求めるなら、2.1ch再生は有効な方法だ。しかし、スピーカーとサブウーファーのそれぞれのレベル調整やクロスオーバー周波数の調整などが難しく、なかなかうまくいかない。しかし、DS-A101Gの「オートブレンド」機能を使うと、かなり簡単に2.1chの音の調整が可能だ。
試聴では、自宅で試用しているイクリプスの「TD725SWMK2」を使用しているが、スピーカーに合わせて手頃な価格のものを組み合わせてかまわない。比較的コンパクトなサブウーファーも多いので、いろいろと探してみるといい。
サブウーファーの接続が完了したら、スマホアプリの出番だ。「オートブレンド」機能を選択すると、まずはクロスオーバー周波数の設定となる。設定した周波数より下の帯域をサブウーファーに任せる設定だ。最近の小型スピーカーは低域の再生能力も優秀なので、80Hzあたりを目安に選択する。B&W607はなかなか低域の伸びも優秀なので、60Hzとした。
続いて本格的な測定だ。本格的といってもスマホの内蔵マイクを使うので、特別な機器を用意する必要はない。まずはスピーカーに近い場所にスマホを置いて測定、続いてはサブウーファーの前で同様に測定する。さらに、リスニングポイントにスマホを置いて測定する。ユニークなのは、このときに位相を細かく変更しながら測定をしていること。10度刻みで0~180度まで測定する。
これは、スピーカーの低域とサブウーファーの低域の位相のずれを測定するためだ。位相のずれが大きいと互いの音が打ち消し合ってしまうこともあり、音のつながりが悪くなる。これを耳で合わせるのは至難の業で、2.1ch再生がうまくいかない大きな原因のひとつでもある。これをマイク測定とデータ解析で最適に補正してくれるので、かなり容易に2.1ch再生のセットアップができるのだ。
測定後は設定画面でオートブレンド機能のオン/オフができるようになるので聴き比べてみよう。サブウーファーの音量も好みに応じて調整できる。
鳴ってると感じないぐらいが、ちょうどいいバランス
面白いのは、サブウーファーの存在を意識しやすいのは、オートブレンドをオフにしたときだ。ぱっと聞き、演奏のスケール感が大きくなるし、音の迫力も増す。ただし、低音だけ目立っているような感じにもなる。
余談だが、耳で2.1ch再生のセットアップをする場合も、同様の感じになることが多い。最初のうちは「さすがはサブウーファー!」という感じで楽しめるのだが、耳が慣れてくると低域が鳴りすぎやバランスの悪さを感じはじめる。サブウーファーの音量が大きいかもしれないと思って、レベルを下げていくわけだが、良い感じと思った音量では、サブウーファーからはほとんど音が出ておらず、スピーカーの音だけを聴いていたなんて笑えない事態も発生する。
一方、オートブレンド機能をオンにすると、サブウーファーの存在が消える。
左右のスピーカーだけから音が出ているような感じになるのだが、もちろん、サブウーファーの電源を落とせば、低音は減ってスケール感が小さくなる。もう一度、電源を入れ直しても、サブウーファーから音が出ている感じはないが、目の前の小型スピーカーが一回りかそれ以上に大きくなったような感じになる。これがきちんとセットアップされた状態だ。
サブウーファーの音量を調整する場合は、オートブレンド機能をオンにした状態で行う。これも、低音が出すぎていると感じたときに少し下げる程度でいい。人間の耳は音量によって感度が変わり、小音量では低音の感度が鈍る。だから、再生している音量に合わせて微調整するといい。そのために、サウブーファーの音量調整項目がある。
サブウーファーを使った2.1ch再生は、大音量再生でしっかりと低音まで楽しむものと思いがち。だが、実は小音量再生でもメリットは大きい。深夜などに音量を小さくして音楽を聴くと、当然ながら低音が聴こえにくくなる。サブウーファーが不足した低音を補ってくれるので、小音量でもかなり満足度が高い音に感じるのだ。
集合住宅など、あまり音量を出せない人にとっても有効なテクニックなので、気になる人は試してみてほしい。サブウーファーの下に振動対策としてオーディオボードを敷くなど、きちんと対策をすれば、音量で周囲に迷惑をかけることなく、スピーカーでの音楽鑑賞を楽しむことができるだろう。
機能が充実、おすすめのプリメインアンプ
エラックのDS-A101Gは、プリメインアンプにネットワーク機能が加わったことで、特別な再生機器がなくてもデジタルソースの音楽を幅広く楽しめる。シンプルに音楽を聴くシステムとしては魅力的だ。
肝心の音の方も、小型モデルとは思えない実力の高さであることがわかった。今後は、B&W 607とDS-A101Gをリファレンスとして、さまざまな小型スピーカーを紹介していくが、興味のある読者が多いようならばサブウーファー2モデルを用意して比較試聴してみるのも面白いと考えている。このような発展性がある点も小型スピーカーと組み合わせるのに最適なプリメインアンプと言っていいだろう。
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