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鳥居一豊の「コンパクトスピーカーが好き!!」 第2回

省スペースで使えるコンパクトサイズのプリメインアンプ

ネットワークオーディオやドルビーデジタル音声にも対応する多機能アンプ エラック「DS-A101-G」

2020年05月30日 15時00分更新

文● 鳥居一豊 編集●ASCII

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[試聴曲1]早見沙織/シスターシティーズ(96kHz/24bit FLAC)
moraなどで配信中

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[試聴曲2]ZARD Forever Best(96kHz/24bit FLAC)
moraなどで配信中

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弦の音色が艶やか、低域も混濁せず明瞭

 早速試聴してみよう。スピーカーは前回紹介した「B&W 607」。自宅のシステムと条件を合わせるため、再生機器はMac miniにAudirvana Plusをインストールし、D/AコンバーターのCHORD Hugo2をつないでいる。Hugo2の出力をDS-A101Gのライン入力に接続して聴いた。まずは純粋なアナログアンプとしての比較だ。

 まずはよく聴くクラシック曲を聴いてみたが、中高域は情報量が豊かで弦の音色の再現も艶やかだ。音の定位の良さ、空間の広さや奥行きもしっかりと出る。音の粒立ちがよく、鮮明な印象の再現だ。そして、低音のパワー感も十分なレベル。コントラバスや打楽器の低域の伸びはわずかに軽くなるが、比較対象はアキュフェーズの「A-46」(発売当時:60万円)であるからこれは仕方のないところ。十分に健闘していると言っていい。

 ティンパニーを素早く連打するところも、ドロドロっと混濁せず鳴らす。リズムのキレがよく、俊敏な低音だ。絶対的な低音のパワー差のせいか、スケール感は少しコンパクトになるが、それほど不足は感じない。音量を絞った状態で聴くとその差はさらに縮まり、密度の高いステレオイメージが目の前に現れる。小音量で低音域がやせるようなこともないので、深夜に小さな音で聴いたり、BGM的に音楽を流すような使い方をしていても、情報量豊かで気持ちよく音楽を楽しめた。

声の質感や強弱などニュアンスも豊か

 続いては、早見沙織/シスターシティーズを聴いた。「mist」を聴くと、シンセサイザーによる伴奏のフワッと浮かぶような音の感触がよく出て、気持ち良く音に包まれる感覚になる。声も音像がしっかりと立ち、優しげな歌唱ながらもぼんやりとした感じにならず、芯の通った実体感がある。コンパクトなアンプだからといって、こぢんまりとした感じにならず、むしろ個々の音に実体感のある力強い再生音になる。声の質感や強弱といった変化もきめ細かく再現する表情の豊かさも出て、実に質の高い再現だ。

 ネットワーク経由で同じハイレゾ音源を再生してみた。

 CHORD Hugo2との比較になるので、厳しい比較になってしまうが、これも十分に健闘した。Hugo2の魅力でもある鋼のように強靱な低音域の再現とは異なり、低音の感触はやや柔らかな感触。ただし、ひ弱に感じるほどではない。むしろ、浮遊感のある曲調とはよくマッチしている。音場の広さや深さ、3次元的な音場の見通しの良さは差を感じるが、そこまで求めるのは酷だろう。

音の立ち上がりが速く、コンパクトさを感じさせない

 ロック調のパワフルな曲が多いZARD/Forever Bestでは、「負けないで」のディストーションをきかせたギターの音も力強く再現し、Hugo2で聴いたときとの差をあまり感じなかった。これは意外。パワフルな楽曲や演奏にはしっかりと応える底力はありそうだ。厳しく比較すると、ややタッチが太書きになる感じだが、音の立ち上がりの反応がよく、リズムのキレがよいので、大きな落差を感じないのだ。

 細かなニュアンスを描く情報量や空間再現など、細かなところではそれなりの差はあるものの、これはこれでいい。色づけの少ない忠実感のある鳴り方を中心に、曲調の違いや歌い方の変化にも素早く反応する俊敏さ、中低音域に力のある聴き応えのある音がうまくバランスしていると感じる。

 コンパクトサイズを意識しての選択でもあったので、当初は少し心配したが、今後の試聴でのリファレンスシステムとして使える実力を確認できて安心した。比較的コンパクトなB&W 607と組み合わせたときの見た目のバランスもいいし、これならば十分なスペースを確保してリビングに置いた使い方だけでなく、手を伸ばせばスピーカーに届くくらいの近接試聴でも邪魔になることもなく、質の高い音楽を楽しめると思う。

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