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ハネウェル、イオントラップ方式で量子コンピューターに参入

2020年03月05日 19時30分更新

文● Will Douglas Heaven

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Honeywell

家庭用サーモスタットで有名な米国企業のハネウェル(Honeywell)が、世界で最も強力な量子コンピューターを開発したと発表した。同社は今後3カ月以内に、インターネットを介して顧客が利用できるようにする予定だ。世間の注目が量子超越性で人々を驚かせたグーグルやIBMに向けられる中、ハネウェルは量子技術の開発に静かに取り組んできた。

ほとんどの量子コンピューターは、IBMやグーグルが開発中のものを含めて、過冷却された回路を使う超伝導キュービットで構築されているが、ハネウェルの量子コンピューターはイオンを電磁場で捕捉する「イオントラップ」方式を採用する。超伝導量子チップは高速だが、イオントラップは正確かつ量子状態をより長く維持できる特徴がある。

ハネウェルはまた、量子計算を一時停止し、キュービットの状態を読み取り、結果に応じて異なるパスで計算を再開できるとしている。これにより、計算中に「if」文のような宣言を実行できるようになる。

ハネウェルは3月2日、システムの仕組みの詳細をアーカイブ(arXiv)に投稿した。同社は、自社の量子コンピューターがIBMの「Q System One」の2倍の性能になると主張しているが、この主張は議論を呼びそうだ。

ハネウェルは量子コンピューティング・アルゴリズムと一般的なコンピューティングに関するノウハウの提供を目的に、JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)とマイクロソフトと協業し、より小規模な量子コンピューティング専門家への投資も行なっている。

意外に見えるかもしれないが、ハネウェルはサーモスタットをはるかに超える豊富な工業専門知識、特に防衛や航空宇宙などの多くの高精密機器を手掛ける大企業だ。真空と極低温材を扱った経験は、通常のコンピューターよりも多くの工学分野を必要とする量子コンピューターを作り上げる取り組みにおいて、大きな役割を果たすだろう。このことは、次世代量子テクノロジーへの投資が、IBMやグーグルなどの従来の巨大テック企業だけでなく、ハネウェルなどの従来の工業系複合企業にも流れることも示している。

しかし、今のところは単なる発表でしかない。ハネウェルの量子コンピューターが実際に何ができるかを確認するには、さらに数カ月待つ必要がある。

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