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さくらの熱量チャレンジ 第40回

さくらがチャレンジした理由、オウンドメディアの必要性を聞いた

衛星データを民主化するTellus、さくらインターネットから見た舞台裏

2020年01月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: さくらインターネット

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同じ想いを持った大人がいっぱい 学びしかないし、毎日が刺激的

大谷:Tellusプロジェクトのために、さくらインターネットに転職してきたメンバーも多いですよね。

田中:そうですね。復業という形もありなんですが、どうしても兼業だと労力のかけ方が難しいですし、収入の不安もあります。でも、転職してこのプロジェクトやれば、フルコミットできます。城戸を見てもらえばわかりますが、モチベーションに関しては、不安なさそうでしたし(笑)。

Tellusプロジェクトを牽引している山崎も、もともとJAXAから経産省に出向して、衛星データのオープン&フリー化を推進していました。そんな山崎もさくらインターネットに出向して、いっしょにTellusを動かしてくれています。すごく感慨深いですよね。

城戸:大学でTELSTARを立ち上げた頃は、「日本の宇宙産業を拡げていかなければならないのに、世の中の大人たちはなにやってるんだ。まったくわかっていない!」みたいに尖っていたのですが、やっぱり子供だったし、一大学生ができることには限りがあって、とにかく思っていることを発信するくらいしかできなかったんです。

でも、この立場になって、初めて「同じ想いをもった大人がこんなにいっぱいいるんだ」ということに気がつきました。しかも、バックグラウンドが異なり、それぞれ専門性を持った人たちと一緒に仕事ができます。学びが多くて、毎日が刺激的です。

「学びが多くて、毎日刺激的です」(城戸氏)

大谷:Tellusプロジェクト自体は誰がリーダーなんでしょうか?

田中:みんなでワイワイやってみましたね。結局、誰が主導したんでしょうね?

大谷:私に聞かれても(笑)。

田中:まあ、青写真は小笠原が作り、2月のリリースに向かってとりあえずみんなで走りきるみたいな感じ。一人が果たす役割も多重化してたし、チームビルディングでは城戸も悩んでたり。

城戸:えっ?なんで知っているんですか(笑)。

田中:リリースパーティのときに涙ぐんでたじゃないですか。

城戸:はい。私もけっこう主張が強い方なので、納得しなければリリースしたくないみたいなことを言っていたのですが、みんな出身母体も違うし、こだわりポイントも全然違う。特に私は途中からプロジェクトに入ったので、当初はぶつかるところはいっぱいありました。今でこそ言い合える仲間ですが、その関係を構築するまでは大変でした。

Tellusプロジェクトでオウンドメディア「宙畑」が重要になる理由

大谷:次にメディアとしての宙畑の役割を教えてください。

中村:まず、現時点で衛星データを扱えるエンジニアがまだまだ少なく、扱えるエンジニアを増やすこと、そして、衛星データを用いたビジネスを立ち上げるプランナーを増やすことが衛星データの利活用を盛り上げるためには重要だと考えています。

「プランナーを増やすことが衛星データの利活用を盛り上げるためには重要」(中村氏)

その上で、Tellusの公式オウンドメディアとして、主に2つの役割があると考えています。ひとつはそもそもわかりにくく、遠い存在と考えられがちな衛星データの価値を、実は身近で価値のあるものとして啓蒙すること。もうひとつは、ライブラリとしてTellus、衛星データを活用したいと思った方が迷わないように必要な基礎知識、ビジネス事例、そしてエンジニアのための事例を取り揃えていくことです。

そのため、宙畑がコンテンツを届けたい読者はビジネスマン、エンジニア……エンジニアの中でもデータサイエンティストとアプリケーションエンジニア、と複数の読者層に向けたコンテンツが混在しています。その中で、それぞれの方にとってより良いメディアとなれるよう、実際にヒアリングを重ねながら新しい記事を出してはああでもないこうでもないと試行錯誤している感じです。

大谷:Tellusプロジェクトに入ってから方向性や読者は変わりましたか?

中村:入る前は、宇宙ビジネスに興味を持つ人がどのようなことを知りたいのかを調査し、それに答えるコンテンツをしっかりと作りこむ、SEOを意識したコンテンツ作りをしていました。入ってからは、宇宙ビジネスや衛星データに興味を持つ手前の段階から、どのような記事をどのように届ければより興味をもってくれるかを考え、記事を作るようになりました。そもそも興味を持っていない人をいかに引き込むか、また、その後の行動までしっかりとフォローできているのか、という観点でコンテンツを企画しています。

城戸:今までは記事を読んでから、実際に試してみるまでのステップが多かったのですが、オウンドメディアになったことで、Tellusに登録してもらえば、すぐに試すことができるるようになりました。

現在はもう、オウンドメディアの編集は基本的に中村に任せていて、私はTellusのサービス開発やビジネス開発にコミットしているので、Tellusにジョインしたことでメディアやっている側と言うより、メディアのネタにされている側になりましたね(笑)。

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大谷:Tellusプロジェクト自体にこうしたメディアを取り入れたのか教えてください。

田中:1つはマーケティングの変化です。今までは売って、買って終わりだったのですが、今は知ってもらって、無料でもいいから使ってもらって、体験してもらうことで、人に知らせたくなるというマーケティングが主流になっています。知ってもらい、使ってもらうには、当然メディアが必要になります。プロダクトをよくしてもらうことと、知ってもらって、体験してもらうことは両輪の存在です。だから、さくらインターネットとしては宙畑に限らず、さまざまなオウンドメディアやブログで情報発信することが重要だと考えています。

大谷:今回のTellusって、さくらのサービスからすると、かなりマーケティング志向な気がするんです。シーズとしてサービスをユーザーに提案し、マーケティングでユーザーニーズをつかんで、サービスに反映していくみたいな。機会学習用途の高火力コンピューティングなどとやや性質が違うので、メディアでの啓蒙も必要になるのかなと。

田中:そうですね。高火力コンピューティングに関しても、今でこそ売れていますが、出した当初はかなりシーズ寄りでした。とはいえ、想定顧客はある程度描けたので、純粋にシーズだけではなかったです。

その点、Tellusはシーズとしてやりたいことをお客様に問いかけていくサービスですが、今までと違ってかなりB2C寄りだし、想定顧客も見えません。ですから、マーケティング指向なサービスと言えるかもしれません。

大谷:なるほど。

田中:メディアをやるもう1つの理由は、情報発信する人自体の熱量の発散場所としてのメディアです。

たとえば、「われわれがなぜクラウドを作るのか?」という問いに対して、「クラウドを作りたいから」と言える人が作った方が効果は出やすいはずです。だから、Tellusに関しても、「Tellusがあるから集まれる」「宙畑があるから集まれた」という場所やプラットフォームが必要でした。「儲かるからやる」のではなく、「やりたい人がいるからやったら儲かる」方が正しいと思います。だから、われわれは場所を用意することが重要だと考えています。

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