カーナビを作り続けてきた経験が活かされる
「私たちは長年カーナビを作っていますから、ユーザーにとって見やすい画面と知りたい情報は何かを熟知しています。さらにグループ企業の中に車用の地図を製作する専門会社(インクリメントP)があります。もちろんOEM供給しているナビにもそれらは使われているのですが、差別化という点と、自動車メーカーの意向により見え方やUIが異なります。私たちの方がよりブラッシュアップされて使いやすい、見やすいという自負があります」と、パイオニア担当者はいう。
さらに「スマホナビで、通れない道をオススメされた経験はありませんか? 弊社のナビではそのような事はありません」と、地図を作っているからこそ、道を知っている点でスマホよりも走りやすい道を提案するそうだ。
このルート検索において、今時のナビはメーカー純正ナビでも社外ナビでも、渋滞を回避するルートを導き出すため、渋滞情報だけでなく、蓄積したビッグデータを使っている。「私たちは、ビッグデータと呼ばれる以前から、道路の混雑情報を集めていました」と、パイオニア=先駆者という名に相応しい試みをしていたそうだ。「現在ではその情報を、各自動車メーカーやカーナビメーカーにデータを提供・共有しているほどです。ビッグデータはその件数が多ければ多いほど活きるものですから、長年培ったアルゴリズムと合わせて一番渋滞が回避できるルートをお客様に提案できます」というのだ。
これがナビの性能というものなのだろう。もちろんスマホナビでもビッグデータを使った検索はしているのだろうが、アルゴリズムのチューニングや蓄積したビッグデータの量と質でパイオニアに対抗するまでには時間はかかるのは想像に難しくない。
ただ、スマホと比べナビ画面のスクロールは正直なところ遅いと言わざるをえない。「ですがビルなど建物の形も細かく入力していますので、実際運転しながら見比べると、結構わかりやすいようになっていると思います」とのこと。確かに自分がいるべき場所は鳥瞰画面でスマホと比べた場合、明らかに見やすい。
スマホで地図を見ながら歩いている際「道が1本ずれていた」という経験は誰もがあること。これはGPSの電波が建物に乱反射して起こる現象だ。これが首都高のJCTなどで発生すると、引き返せないといった絶望的な状況となる。中でも地下をグルグル回る首都高の大橋JCTは鬼門中の鬼門だ。だがパイオニアは「私たちのナビの場合、GPSデータだけでなく高精度ジャイロを搭載しているので、GPSの電波が届かないシーンでも非常に正確な精度を誇ります」と胸を張る。
まとめると「性能が違う」と販売店が語るのは、地図やビッグデータの活用方法と、ハードウェアにおいて、社外ナビは純正ナビの先を行っているということだ。言い換えるなら25万円以上もする純正ナビより10万円のパイオニア製ナビの方が高精度な位置を表示し、かつ渋滞が回避できるルートを提案、より見やすい画面でドライバーをサポートするという逆転現象が起きていたというわけだ……。
ハイエンドモデルはお高いだけのことはある!
ここまでの話で約10万円の「楽ナビ」で十分と思っていた筆者。しかし約20万円の「サイバーナビ」は、さらにとんでもないことになっていた。
「機能面で純正ナビと最大の差はエンターテインメント性です。今年発売したばかりのモデルですとインターネット接続し放題でして、車内でYouTubeをはじめとするストリーミング動画が楽しめます」というから驚きだ。ナビそのものがWi-Fiスポットとして活用できる上に、サイバーナビの画面でYouTubeを初めとするストリーミングの動画コンテンツの視聴を可能としている。YouTube再生に関して言えば、Apple CarPlayなどに対応している純正ナビなら視聴できるが、それをやったらパケ死することは火を見るよりも明らか。ギガ無制限のインターネット接続というところが心強い!
さらに「HDMI入力端子を設けていますので、ここにFireTV Stickを接続しますと、Amazonプライムビデオが視聴できます。子供を乗せて走られる方からは、車内で好きなアニメが鑑賞ができてグズらなくなったと好評です」というではないか。確かに渋滞中の車内は険悪になりがち。そこで動画を流して雰囲気が変わるのなら、これほどイイ話はない!
ちなみにサイバーナビはドコモ回線を使っているためエリアも広く、通信も大抵の場所なら途切れる心配はない。「でも、お高いんでしょ?」と意地悪に聞いてみると「料金は初年は無料。翌年以降1万2000円/年です」と担当者は胸を張る。輸入車や高級車でインターネット接続サービスを提供する車種はあるが、月1000円でインターネット使い放題はちょっと記憶がない。「実は私も、ホントかなぁと疑っているんですけれどね(笑)」と担当者はおどけてみせるが、カロッツェリアのカタログに明記されている本当の話。動画見放題はもちろんだが、クルマの中で仕事をする事が多い人にとっても、この月1000円でネットつなぎ放題は魅力的だ。
ちなみにオーディオに関しては、CDを超えるクオリティーの「ハイレゾ」音源に対応。ネイティブ再生は96kHz/24ビットのPCMまでだが、ダウンコンバートすれば最大192kHz/24ビットのPCM、もしくは5.6MHzのDSD音源の再生が可能だ。
最近始まったAmazon Music HDを契約すれば、インターネット接続し放題と相まってハイレゾ聴き放題というから恐ろしい。言うまでもなくサイバーナビとiPhoneを接続すればApple Musicも聴き放題だ! 音質云々については、取材時にハイレゾファイルを持ち合わせていなかったので割愛させてもらうが、ハイレゾファイルはアルバム1枚あたり5000円程度。それが月額料金で車内でも聴き放題になるとは、とんでもない時代になったものだと心の底から思う。
ちなみにスマホとの連携だが、サイバーナビはApple CarPlayやAndroid Autoは非対応。とはいえ、ここまでできれば必要性をまったく感じないハズだ。