イマドキの車は、カーナビがついているのが当たり前。そのディスプレーを用いて車両設定ができる車種も珍しいものではない。その一方、スマートフォンの普及により「ナビはGoogleマップなどで十分」という人も増えており、新車購入時にナビを付けない人もいる。そんな二極化の中で、忘れられている存在が自動車メーカーの純正オプションではない、社外カーナビではないだろうか。そこで社外カーナビの今を知るべく「カロッツェリア」ブランドで知られるパイオニアに訪問した。
カーナビは高いというイメージがついている
いきなり下世話な話になるが、そもそもナビって一体どの位の予算が必要なのかということから話を始めたいと思う。自動車メーカーのカタログを見ると、だいたい25~30万円位のプライスがつけられている。実際、ディーラーで車両見積りや商談をすると、純正ナビの話は必ず出てくる。「せっかくだから……」と言ってお願いすれば、たとえば車両本体価格170万円程度の軽自動車に別途ナビを付けて総額200万円という見積りが出てくる。なるほど「ナビはスマホで十分」という選択肢が出てくるのは当然だ。
一方量販店を見ると、ナビ単体の展示ではなくカーオーディオとしての紹介が多い。大手量販店オートバックスの旗艦店「A PITオートバックス東雲」にお邪魔して店内を観察してみたところ、実際にシートに座った状態でカーオーディオの試聴ができるようになっており、音にこだわる人がナビを買い求めている、という印象を受けた。
さて、気になるのはその値段だ。というのもカーオーディオのカタログを見ると「オープン価格」と書かれていることが多く、実際の値段がわからないからだ。A PITオートバックス東雲では各社自慢のフラグシップモデルが多く、その価格帯は15~18万円前後が中心と、メーカー純正カーナビに比べて安価に設定されている。ちなみに別途取り付け工賃がかかるわけで、車種によりまちまちだが、ポン付けできれば2万円程度のようだ。つまり純正より安くナビが取り付けができる。
さらにパイオニアの場合、ハイエンドな「サイバーナビ」シリーズは約20万円であるのに対し、廉価な「楽ナビ」だと10万円以下! 純正ナビの半値以下でナビが手に入るとなれば、見過ごすことはできない。実際「お客様には、社外カーナビは純正品より安くて性能がよいというお話をしています」とオートバックスの担当者は語る。
パイオニアの担当者も同様に「車両システムとナビ画面が統合されつつあります。車両に関わる部分は私たちは何もできないので」というの前置きをしつつ「コストパフォーマンスは社外品に分があるように思います。純正ナビを選ばれるお客様は、安心感やリセールを考えられている方が多いようです。一方、社外品を選ばれる方は車を楽しみたい方といえるでしょう。そして一度社外ナビを使われた方は、次の車でも社外ナビを選ばれる傾向があります」という。
純正ナビと比べて安価であるのは理解できたが、気になるのは純正ナビとの差だ。地図を表示しルート検索するだけなら、スマホも含めてどれも同じではないのか? 結論から言えばそれは間違いだった。