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AIに職が奪われる、だからベーシックインカムが必要

2020年01月02日 09時00分更新

文● 西牧、編集● ASCII

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選別の生活保護と一律のベーシックインカム

 生活保護の問題点として井上准教授は、「選別的社会保障」「選別には行政コストがかかる」「選別はしばしば失敗する」「対象者は屈辱的な烙印を押されかねない」「働いて賃金を得るとそれだけ受給が減る」などを挙げる。

 生活保護は困窮する人が、その困窮の程度に応じて必要な保護を受けることで、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長するのが目的だ。しかし、井上准教授の言葉を借りれば、「救済に値する者と値しない者を選り分けないといけない」。

 さらに井上准教授は「生活保護の捕捉率は2割と言われている。つまり8割は受給できる資格があるのにできていない」点も指摘する。

 一方でベーシックインカムは一律なので不公平ではない。生活保護のように申請や行政の調査がないため、制度として簡素化できる。くわえて「ベーシックインカムは底上げがなされるのであって、税金で引かれる分はあるけど、働いたら自分の所得になる。理屈のうえでは生活保護よりも働くインセンティブが作用すると考えている」とのこと。

 生活保護には、介護サービス費用や医療サービス費用の負担など、ハンディキャップを抱えた人向けの支給も含まれている。ここについては「重い病気やハンディキャップは別途手厚い支援が必要。だが、貧困対策であればベーシックインカムで包括できる」と説明した。

 ちなみに講義では月額7万円の支給を想定していたが、「7万円で暮らせるわけがない」と怒られることがよくあるそうだ。

 当然、7万円だけでやっていけるわけではなく、生活費を稼いでもらうことをイメージしているとのこと。井上准教授は「健康で若い人であればやっていける。重い病気を抱えていたり、高齢であったりする場合はやはりプラスで支援が必要」と述べた。

 と、ここで休憩。井上准教授が述べたもうひとつの要点「AIが発達して、クリエイティブ系の職業が増えたときに、ベーシックインカムが必要」については、次回に続く。

 なお、すでに勉強会の様子を撮った動画が公開されている。雰囲気などもわかると思うので、合わせて見てほしい。

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