Xperia 5で機能が増えたゲームエンハンサー
――Xperia 5から「ゲームエンハンサー」の機能が増えました。ボイスチェンジャーをはじめ、実況向けというか、配信者向けの機能が追加されましたよね? やはりYouTuberを意識してですか?
田倉 コンソールゲームは好きなタイトルが出るという情報を待って、発売に合わせて⾃分でスケジュールを⾒ておいて遊ぶ、買うタイミングで遊ぶという世界です。モバイルゲームは次々に新作がリリースされて、コンテンツはほぼ無限にあります。どれをチョイスするのかは、友達や実況配信者が扱っているゲームに影響されます。なので、自分もちょっとシェアしてみたいなと感じるようなコミュニティーインタラクションが重要だと考え、ただ遊ぶだけではなく共有するという部分も強化しました。
加藤 スマートフォンはSNSなどコミュニケーションツールへの大きなタッチポイントになりますから、プレーしているものをそのまますぐにポストしたいという要求もあります。ユーザーが今体験している興奮を即時に伝えられる機能として、Xperia 5のゲームエンハンサーも、配信系の機能をおもにレベルアップさせていただきました。
――ゲームエンハンサーはゲームを録画する機能じゃないですか。たとえばYouTubeなりニコニコ動画なりで直接配信できるような機能は付けないのでしょうか?
田倉 直接配信する機能が欲しいというユーザーさんの声も実際に届いています。ゲームによっては、スマートフォンのパフォーマンスをフルに使って、さらに動画を記録しながら配信となると厳しいところもあるかもしれないので、きちんとユーザーさんにご満足いただける体験をお届けできるように引き続き検討していきます。
――そういえば、今回「ゲームエンハンサー」の機能で、ついに電話の通知を切るという機能が……。
田倉 そうですね(笑)。僕が結構強い意志を持って入れました。僕が遊んでいるときに仕事の電話とかいろいろかかってきたことがあったんですよ。あー、今遊んでいるのに……みたいな。そう感じている人が自分以外にもいるんじゃないかな、同じ気持ちの人がいたら反応してくれないかな、という意図で入れています。
――なるほど(笑)。
田倉 ここはかなりスマートフォンとしてはチャレンジでした。もちろん通知を切らない設定にもできますし、そこはユーザーさんに選んでいただけたら。本当にゲームに集中したい⼈は使ってみてほしいなと思っています(笑)。特に、音ゲーなどではその一瞬の集中力を欠いただけでおしまいということもよくあるので、そうならないような体験も含め、ゲームをより喜んで使ってもらえたらなと思っています。
Xperia 1への新機能搭載はのちほど
――アップデートでXperia 1にXperia 5のゲームエンハンサーの機能を載せるというのは考えていらっしゃるんですか?
田倉 正式な案内はオペレーターさんからになりますが、将来的にはアップデートが来ると思っていただければ。
――それは朗報ですね。私もXperia 1を使っていて、Xperia 5にしかないのはズルイと思っていたので(笑)。
田倉 はい、承知しています。機能がいろいろと増えたので、しばしお待ちください。
――同時期に「Xperia 8」も発売されましたが、こちらにはゲームエンハンサーは搭載されていませんね。ミドルレンジということもあると思いますが。
田倉 どうしてもスマートフォンのゲームは、CPUに依存するところがかなり大きいです。ソニーとしては、明確にしっかりとどんなゲームでも遊んでいただけますと伝えていきたいと思っているので、そこをXperia1/5にフォーカスしていこうかと。ミドルレンジも遊べなくはないですが、ハイエンドと同じように動くわけではありません。最高のゲーム体験はXperia 1/5と位置付けているので、あえてXperia 8とは差別化させていただいてます。
フォートナイトに対応した「DUALSHOCK 4」
――それでは「DUALSHOCK 4」の話をさせてください。このたびスマホ版の「フォートナイト」に対応しましたが、今後ほかのゲームに対応させる予定は?
田倉 「フォートナイト」はPS4版もモバイル版もあるんですけど、PS4版で遊んでいた人がモバイル版を遊ぶにはインターフェースが合わないと思ったので、そこでDUALSHOCK 4を対応させることで、PS4の感覚を再現できるだろうと。PS4で遊んでいるユーザーに、Xperiaでも遊んでほしかったので対応させました。
加藤 先ほどの21:9と同じで、興味がありそうなゲームメーカーさんとお話しして、増やしていきたいという意思は我々にはあります。
――今のところ「フォートナイト」だけですか? 「アスファルト 9」は違いますよね?
田倉 そうですね、DUALSHOCK 4の完全な機能を使えるのは、現状だとフォートナイトだけです。
加藤 バイブレーターとか、ライトバーが光るのはフォートナイトだけですね。
田倉 そもそもAndroidがサポートしているBluetoothコントローラーの範囲にDUALSHOCKも入っているので、遊べるというだけなら対応しているものは多数あります。なので、「アスファルト 9」でも遊べると言えば遊べます。
──そうなんですね。
田倉 キーボードと同じで、コントローラーってキーマッピングがすべてなので、うちとしてDUALSHOCK 4の性能を完全に引き出せているのが、現在「フォートナイト」だけということです。
──これまでXperia 1のTVCMはどちらかというとカメラとかの「クリエイターモード」とかを推していたと思うんですけど、今後はCMでもゲームを推していくようになるんでしょうか?
川原崎 上期に出たXperia 1は、フラッグシップモデルとしてソニーのテクノロジーを結集させたモデルであることを訴求していました。Xperia 5は、ほぼXperia 1と同等の機能を持った上でコンパクトなサイズに落とし込んでいることが最大の特徴です。これまでは、サイズをコンパクトにすることでどうしてもスペックが落ちてしまう側面がありましたが、今回のXperia 5は解像度やバッテリーの差分はあるものの、このサイズの中でできる最善の機能をすべて搭載できました。Xperia 5は体験ベースの訴求をしており、その中のイチ要素として、もちろんゲームも推していくつもりです。
田倉 モバイルゲームは少しテレビから遠い位置にいると思っているので、あえてCMではないところで伝えようとしているのですが、それが今年からかなりチカラを⼊れてやっているeSportsの活動なんです。「モバイルゲームに強い」、「ゲームエンハンサーも便利です」のようなアピールは、モバイルゲームを楽しんでいる方々によりリーチできる場所でしっかりとやっていこうという戦略です。
加藤 あと、eSports以外にはYouTuberさんとのコラボレーションや東京ゲームショウなど、それぞれのターゲットセグメントにダイレクトでマーケティングする手法を取っています。