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CPOスコット・ベルスキー氏インタビュー

Photoshop Camera、フェイク対策、アドビがAI「Adobe Sensei」で目指すもの

2019年12月12日 12時00分更新

文● 太田百合子 編集●飯島恵里子/ASCII

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米アドビ CPO(最高製品責任者) スコット・ベルスキー氏

 アドビはロサンゼルスに続いて、12月3日に日本でもクリエイター向けのイベント「Adobe MAX Japan 2019」を開催した。イベントにあわせて来日した同社CPO(最高製品責任者)のスコット・ベルスキー氏に、同社のAI「Adobe Sensei」を活用した最新の製品や取り組みについて、また今後の構想について聞いた。

 「Adobe MAX Japan 2019」では、Adobe Creative Cloudに関する多くのアップデートが紹介された。その中でも特に注目を集めていたのが、「Adobe Photoshop」のオブジェクトをワンクリックで切り抜ける機能や、画角の異なる動画を簡単に作れる「Adobe Premiere Pro」のリフレーミング機能。いずれもAI Adobe Senseiを用いて実現したものだ。

━━基調講演の中で「クリエイターのクリエイティビティを阻害しているのは、繰り返しの作業などにとられる時間だ」という話をされていました。この問題を解消するためにAdobe Senseiを用いて作業を自動化したとのことですが、その点をもう少し詳しく教えていただけますか?

スコット氏 クリエイティブは試行錯誤の繰り返しで、クリエイターがクリエイティビティを発揮するには、当然時間がかかります。しかし現状はその大切な時間の多くが、わずらわしいルーティンワークに奪われてしまっています。クリエイティブのプロセスの中で、このルーティンワークの部分をもっとスピードアップできれば、クリエイターは本当にクリエイティビティを発揮すべきところに集中できる。だからクリエイターの膨大な作業をもとに学習させたAIであるAdobe Senseiを活用して、その作業の一部を自動化しました。もちろんAdobe SenseiはAdobe PhotoshopやAdobe Premiere Proといった、既存のデスクトップ製品での作業をラクにするだけでなく、まったく新しい製品を作り出すのにも役立っています。Adobe MAXで発表した「Photoshop Camera」もそうした製品のそのひとつです。

Adobe Senseiを用いた新アプリケーションPhotoshop Cameraとは

 Photoshop Cameraは来年リリース予定のiPhone向けのアプリケーションで、カメラでとらえた映像に「レンズ」と呼ばれるフィルター効果をリアルタイムに反映する。

 「レンズ」はバリエーションに富み、肌をなめらかにして背景をぼかすといった補正に近いものから、背景をアニメーション風に変えてしまう合成、さらにそのアニメーションをカスタムするなど、まさにAdobe Photoshopでできる加工をリアルタイムに適用させたようなおもしろさがある。

 なおレンズはPhotoshopの標準ファイルである「PSD」をもとに誰でも作成できるという。

━━Adobe Senseiを用いて、Photoshop Cameraのようなアプリケーションを作った理由を教えてください。

スコット氏 今は誰もがスマホを持っていて、誰もが同じようなカメラを使っています。しかし以前は異なるカメラやレンズ、設定、光で写真を撮影していました。フォトショップカメラのインスピレーションは、このようにひとりひとり異なるレンズで撮影できる、クリエイティブなカメラを作りたいというところから来ています。PSDファイルを元に、誰でも自分の好きなレンズを作れるのが、Photoshop Cameraのアドバンテージです。

━━Photoshop Cameraでは、ビリー・アイリッシュとのコラボレーションによるものなど、実際にさまざまなクリエイターが作ったレンズが試せます。クリエイターが自分のレンズを公開できる仕組みなども考えているのでしょうか?

スコット氏 世界には約2000万人のクリエイターがいて、その多くがAdobe Photoshopを使っています。彼らがPSDファイルを簡単にレンズ化できるようにしていきたいと考えています。すでにPhotoshop Cameraには、レンズについての詳細な情報が見られる仕組みや、好きなレンズを選んで追加できる仕組みなども用意しています。ただ、実際にユーザーがどのようなものを使いたいのか、そのニーズはテスト版を通してこれからだんだんわかってくるのだと思います。

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