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業界人の《ことば》から 第366回

粗が多いAIの課題を解決する富士通の2つの新技術

2019年11月06日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集● ASCII

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今回のことば

「富士通は世界最先端のコンピューティング技術を有していると自負している。そして、AIにおいては、説明可能な技術群をいち早く実用化し、AI品質における問題に着目した世界初の技術も開発している」(富士通研究所の原裕貴社長)

 富士通は、2019年度の研究開発戦略を発表。そのなかで、富士通研究所が取り組んでいる2つの新たな技術を公開した。

 ひとつめは「High Durability Learning(ハイ・デュラビリティー・ラーニング)」である。

 あまり聞き慣れない言葉だが、High Durability Learningは、さまざまな環境や状況に対して、高い耐久性を示し、よい結果を出し続けることができる「高耐性学習」を実現するAIモデルを指すと、同社では説明する。

 富士通研究所の原裕貴社長は「AIの品質問題に着目した世界初の技術になる。富士通は、AI品質においては、データの選別から性能監視や再学習まで幅広く課題を把握して研究開発を推進しており、AIが持つ課題の解決に取り組んでいる」と語る。

 学習データから構築したAIモデルは業務で使い続けるにしたがって、社会情勢や市場動向、環境変化などにより、入力データの傾向が構築当初の学習データと比べて変わってしまうことが多い。その結果、AIの推定精度が低下するといった問題が発生する。

 たとえば、金融分野における信用リスクの評価では構築当初には91%の精度であったものが、経済構造の変化、為替や物価、金利の変動などにより、わずか1年で69%にまで精度が下がってしまうという例がでている。

 「運用中の精度検証や再学習が必要になるため、それに多くのコストがかかるという問題もある。現在、全世界でこの課題に対する議論が行なわれている」(富士通 Data×AI事業本部の渡瀬博文本部長)とする。

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