自動車メーカーがスマホを出す時代
スマートフォンシェアトップメーカーのサムスン電子や、2画面スマートフォンを発売予定のLGエレクトロニクス、そして過去には日本でも端末を販売していたパンテックなど、韓国メーカーはスマートフォン市場で常に大きな存在感を示しています。そんな韓国勢からあらたなスマートフォンが登場しようとしています。それは家電や自動車で有名なヒュンダイ(現代)。いったいどんな製品なのでしょう?
2019年10月にロサンゼルスで開催されたMWC19 Los Angelesに出展していた「Hyundai Technology,Inc.」は韓国ヒュンダイからライセンスを受けて同社のブランドで端末を製造・販売する企業です。本社はアメリカ。アメリカでは「ソナタ」をはじめとするヒュンダイの自動車はメジャーな製品で、ヒュンダイのブランド力は高いと言えます。そのヒュンダイからスマートフォンが出てくれば人気になるだろうと考え、市場参入を決めたようです。
高価格帯の製品はライバルが多数いますし、高性能品の開発には資金力も必要となります。そこでODMメーカーの手ごろな価格の端末を多数取入れ、ヒュンダイブランドで展開をしているというわけです。製品はスマートフォン、タブレットだけではなくノートPCやメモリーなど多岐にわたります。ヒュンダイのノートPCなんて、ちょっと気になりますね。
注目したいのはやはりスマートフォン。低価格なスマートフォンはすでに多くの中小ブランドが展開しています。ヒュンダイブランドとして出てくるスマートフォンの1つ、「X7」は7.12型(2160x1080ドット)、18:9の大型ディスプレーを搭載した製品です。7型を超える大型モデルはアメリカにはないため、かなり目立つ存在です。価格は200ドル(約2万1000円)以下になる予定。
本体サイズは88×177×8.8mm、重さは190g。CPUはMediaTekのMT6765でメモリー6GB、内蔵ストレージ64GB。バッテリーは6000mAhと特大です。なお、システムはまだ最適化がされておらず、水滴型のノッチ部分に画面表示が隠れてしまっていたり、一部のアプリは動作しませんでした。製品化が待ち遠しいところです。
背面には1600万画素と300万画素のカメラ、フラッシュなどを正方形にまとめたファーウェイの「HUAWEI Mate 20」を思わせるデザイン。「HUAWEI Mate 20 X」が7.2型なので雰囲気はだいぶ似ていますが、X7はカメラの下に指紋認証センサーを搭載している点で外観は異なります。
ちなみに、このデザインは一部のメーカーが採用していますが、ファーウェイは1年でやめてしまいました。アップルやグーグルも正方形デザインを追従しましたが、はたしてトレンドになるでしょうか。
もう一つ展示されていたスマートフォン「G57L」は5.72型ディスプレーにメモリー2GB、内蔵ストレージ16GBの4Gエントリーモデル。100ドル(約1万円)以下の低価格機として販売予定。このほかにも3Gスマートフォンなども準備されているようです。価格だけでは勝負が難しいだけに、何かしらのインパクトはほしいところ。自動車のように製品にニックネームを付けて売るなどの工夫が必要かもしれません。
スマートフォン以外には、microSDカードも展示されていました。SDカード型アダプタも含め「HYUNDAI」のロゴが入っているとちょっと安心感を覚えます。CLASS 10で同社のスマートフォンに使うなら十分なスペックでしょう。
コンパクト型のSSDは2TBモデルもあり、スマートフォンとOTG接続してデータを抜き出すことも可能。スマートフォンやタブレットだけではなく、外部機器も出してくるあたりヒュンダイブランドを総合的に広げていきたいというメーカーの意気込みが感じられます。今後アメリカでどこまでメジャーな存在になっていくのか、これからの展開に期待したいものです。
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