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MoguraVRのゲームとって出し 第120回

幻想的な世界で光と植物の営みを取り戻す

探索型VRアドベンチャー『Fujii』で不思議な異世界を巡ろう

2019年10月03日 21時30分更新

文● MoguLive

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 今回紹介するタイトルは、神秘的な景色に富んだ異世界を巡るアドベンチャーゲーム『Fujii』。アメリカはカリフォルニア州に拠点を置く「Funktronic Labs」より、6月28日にリリースされた作品だ。対応VRヘッドセットはHTC Vive、Oculus Rift、Windows MR、Valve Index。原語は英語のほか、日本語にも対応している。

 神秘の木から誕生した、プレイヤーの分身たる主人公。邪悪な何かにより、闇に覆われた「バイオーム」に光を取り戻すべく、動植物と交流したり、左右の指より放たれる水を与えたりして各地を巡っていく。大まかな内容はこのような感じだ。

 操作方法はトラックパッド上長押しと、トラッキングセンサーで移動先を指定。パッドを離すと指定したポイントに移動する。視点切り替えはパッド左右を押して実施、トリガーボタンは水の発射。左右、それぞれに応じて実施できる。グリップボタン長押しで、種などのオブジェクトをキャッチ。離せばその場に落ち、目前に何らかの装置があれば、そこに自動的にはめ込まれる仕組みになっている。

 ゲーム開始まもなく、これらの基本操作は空間内に表示されるガイドを通して解説される。一通りの操作を把握し、オープニングのエリアを潜り抜けたら、本番たるバイオームを巡る旅の始まりだ。

 基本的に植物に触り、蓄えられた光を解き放ち、それを三角型の植物に吸収させていく。吸収は自動でされるので、プレイヤーはとにかく触り倒すことに集中すれば良い。一定量触ると、三角型の植物が成長したことを知らせる効果音が鳴り響く。

 そのまま、当の植物に触れれば、集まった光が上空にあるリング目がけてレーザー状に発射。リングが広がって、闇に覆われていた場所に光が戻って、当たりの景色が見渡せるようになる。

 これらのことを繰り返し、バイオーム全体を見渡せるようにしていく。常に植物に触っていけばいいのではなく、時には閉ざされたゲートを開くために光り輝く種をキャッチし、開錠装置にはめ込み、新たな道を解放する探索ゲーム的な手順が求められることもある。さらに光り輝く種を入手する際には、記憶力クイズに挑戦するミニイベントが出現する。

 ミニイベントでは、操作も相まってやることは簡単だが、流れはそれなりに入り組んでいる。起伏に富んだ展開が楽しめる作りだ。敵と戦闘するなどのイベントもないので、まったりゆったり各バイオームを巡っていけるのも大きな特色だ。

 全体的な難易度は低めだ。探索、記憶力クイズのようなミニイベントも最小のトライ&エラーで攻略できるバランスに落ち着いている。幻想的な世界観と雰囲気を体験させることにフォーカスしているからだろう。

 スクリーンショットのとおりだが、各バイオームのビジュアルは非常に彩り豊か。グラフィック、具体的には地形周りのモデリングはシンプルだが、そのぶん色使いと演出の作り込みに力が注がれていて、独自の空気感を表現する。

 最初は闇に覆われていて、真っ暗だった世界に光とともに色が戻っていく様は、まさにその真骨頂。バックに流れる音楽もエリアに応じてその場の雰囲気にマッチした楽曲へ切り替わるなど、雰囲気作りにこだわった工夫が凝らされている。

 バイオームそれぞれの異世界らしさも見ごたえ十分。2番目のバイオームはそれが顕著ににじみ出ており、不思議な仕掛け、歪んだ地形とともに探索の楽しさを演出してくれる。

 また、バイオームを巡る旅のお供としてプレイヤーに同行する木の妖精(精霊?)のキャラクターの可愛らしさも必見。各バイオームと繋がった拠点の「庭」では決まって登場し、座って休んだり、プレイヤーに寄ってきたりする。

 バイオームへと移動する船に乗った際には、特製のバンジョーを取り出し、音楽を演奏し始めることも。水をかけると、ニコッと笑ってくれる。こういう水をかける行為からは迷惑そうなリアクションを見せることを連想してしまうが、彼は動植物のキャラクターだけあって、そんな仕草は見せない。人によっては、その様子に癒しを感じるかもしれない。

 庭では他にバイオームで手に入れた「種」を植えて育てる、ガーデニングの要素も。種は探索中、流れに沿うがまま手に入ることもあれば、隠された道を見つけたり、謎を解いたりしなければ手に入らない例もあり、意外に集め甲斐がある。育てるときにも植えるところがなかったら鉢を購入。こだわりたければ変わったデザインのを選ぶなど、それなりに凝った育て方ができる。

 種から育つ植物もスタンダードな花もあれば、木も同然な大きなのものまで実にさまざま。数も結構な量が用意されている。バイオームを一通り巡ったら、集めるだけ集めてみるのがおすすめだ。

 本作は、バイオームのボリューム不足な点と、グリップボタンによるキャッチがやや使いにくいなど難点もある。しかし、幻想的な世界観と演出、優しめながら、ほどよく手応えを得られる探索で楽しませてくれる。可愛いキャラクターと一緒に自然豊かで、ちょっと不思議な異世界を巡る旅に出てみよう。

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