2019年のフランクフルトモーターショーの最大の見どころは「EV祭り」とでも言えるような、新型EVや新しいEVコンセプトの数々であった。環境対策の手法を内燃機関のディーゼルから電動化へ大きく舵を切ったドイツブランド。しかし、同じ電動化とはいえハイブリッドを先に普及させた日本とは異なり、ドイツブランドはその先とも言えるEVへのシフトを大きく喧伝。そうしたEVシフトを体現する出展内容だった。
しかし、冷静になってみればEVの実際の販売は、まだまだ未知数。販売の主力となるのは、やはり通常のエンジン車である。そして、そうした普通のエンジン車にも注目すべきクルマが数多く発表されていた。今回は、そんな“EVじゃない”、ほかの注目すべきクルマを紹介しよう。
新デザインで近い未来のBMWの姿を示した
BMW「コンセプト4」
BMWのワールドプレミアは「コンセプト4」だ。大きな盾形のキドニーグリルが特徴的なデザイン・スタディで、名称のとおり将来の4シリーズを示唆するもの。実際にはこの新しいデザインは4シリーズだけにとどまらず、BMWモデル全体に広がることが予想できる。新時代のBMWの姿であると考えた方がいいだろう。ちなみに2021年に登場するという「i4」も、このコンセプト4がベースになるという。
世界で一番黒いX6が登場
BMW「X6」
新型というだけでなく、話題性という意味でも注目を集めたのが“世界でもっとも黒い”という塗装を施した新型X6だ。光の99%を吸収して熱に変換するという特殊素材「ベンタブラック(VantablackRVBx2)」を、クルマの塗装に利用。「あまりの黒さに、脳が3次元であるモノを2次元に勘違いする」というもの。薄暗い小部屋での展示であったが、その質感はまるで異質なもの。金属というよりベルベットの布を張り付けたような印象であった。
EVじゃないプラグインハイブリッドとFCV
BMW「iハイドロジェンNEXT」
今回のショーの話題の中心はEVであったが、実際にはそれ以外の電動化モデルも発表されている。そのひとつがBMWの燃料電池車、「iハイドロジェンNEXT」だ。トヨタと共同開発されたX5ベースのモデルで、2022年の少量生産が予定されている。