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Xperia温故知新! 波瀾万丈な歴史を紐解く 第35回

大きな進化を遂げながらもマイナス面が目立った「Xperia XZ2」

2019年08月19日 10時00分更新

文● 君国泰将 編集● ASCII編集部

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 日本でAndroidスマホといったらXperia! というくらい、スマートフォンのブランドとして認知されている「Xperia」。常に最新の技術とスマホのトレンドを取り入れて業界の最先端を走るXperiaシリーズですが、その歴史は決して順風満帆ではありませんでした。これからのXperia、ひいてはスマートフォンの来し方行く末を、ソニー大好きライターの君国氏に写真とともに紐解いてもらう連載です(基本的に登場するのは国内で発売されたモデルのみです)。

デザインが大きく変化したXperia XZ2

 当連載もそろそろゴールが見えてきました。2018年夏、「Xperia XZ2」がドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアから発売されたのが最近に思えます。

 「Xシリーズ」という新コンセプトを立ち上げながらも、他社モデルとくらべても目新しさがないと指摘されていたため、2018年モデルは大きく舵をとり様々な変化をみせました。

 「Xperia XZ」や「Xperia XZ1」にもみられたように、直線とカーブの織りなすLoop Surface(ループサーフェス)というデザインから、Xperia XZ2のコンセプトとしては、3D曲面ガラスとサイドはメタルフレームを採用し、そこから流れるように背面にかけて起伏しているデザインと、ガラスの光沢感との兼ね合いが絶妙に高級感を醸し出しています。ただし、面の大きく膨れた形状に戸惑いを隠せなかったというのがユーザーの大多数の反応でした。

スペックはハイエンドのトレンドを踏襲
独自機能も搭載した

 Xperia XZ2の本体サイズは約72×153×最薄部6~最厚部11.1mm。重量は198gとやや重くなりました。長らく続いたアスペクト比16:9のディスプレーから、タテに長くなる18:9のディスプレーを採用。画面サイズも5.7型と大きくなりましたが、横幅はXperia XZ/XZ1とほぼ同じだったのです。

 解像度は、従来のフルHD(1920×1080)からフルHD+(2160×1080)となり、縦方向の解像度が240ドット分広くなりました。ベゼルレスとまではいかないものの、とくにサイドは狭額縁になり、手に持った時に片手でしっかり操作できるサイズ感でした。

 スペックはSoCにハイエンド(当時)のSnapdragon 845を搭載、メモリーは4GB、内蔵ストレージは64GB、外部ストレージは最大400GBのmicroSDXCに対応という構成でした。IP65/IP68相当の防水性能と防塵性能も引き続き搭載しています。

 ディスプレーは、高画質エンジン「X-Reality for mobile」が進化し、HDRアップコンバートに対応したことで、たくさんの動画を豊かなコントラストと鮮やかな色調で楽しめるようになりました。

 映像やゲーム、ミュージックビデオの音をリアルタイムに解析して、ソニー独自のアルゴリズムとパワフルなアクチュエーターから、コンテンツに合わせて本体が振動する「ダイナミックバイブレーションシステム」も新要素です。音量とあわせて、3段階でダイナミックバイブレーションシステムの効果を調整でき、よりコンテンツへの没入感が得られました。

 フロントステレオスピーカーは、歴代Xperiaとしては最大音量になり、映像のサウンドにあわせて重低音を感じる振動が伝わり、小さな画面からでも迫力を感じることができます。

スーパースローがフルHD撮影に対応!

 Xperia XZ2のカメラは、シングルカメラとスタンダードな構成ながら、約1920万画素と画素数を抑えた1/2.3型のメモリー積層型CMOSイメージセンサー Exmor RS for mobileとなる「Motion Eyeカメラシステム」を備えています。

 コントラストAFと像面位相差AFを組み合わせた「ハイブリッドAF」や、被写体の動きを予測して写体を捉えてブレのない撮影が可能な「先読みオートフォーカス機能」から、5軸の電子手ブレ補正のきく「インテリジェントアクティブモード」も健在。

 進化点としては最大960fpsのスーパースローモーション撮影がフルHD画質にも対応したことです。

 また、4K動画撮影についてHLG(Hybrid Long Gamma)フォーマットの4K HDRでの撮影に対応。HDR(ハイダイナミックレンジ)というのは、カメラが撮影できる明るい部分から暗い部分までの再現可能な幅を拡張するもので、よりクオリティーの高い4K動画を撮影できるようになったのです。カメラから動画撮影時に「HDR」をON/OFFとタップするだけでいつでも切り替えできる手軽さで、撮影した動画はアルバム一覧で「4K HDR」というアイコンがあるのでひと目で確認できます。

ついになくなったイヤホンジャック

 オーディオ機能のBluetoothコーデックはLDACとaptX HDに対応し、ワイヤレスヘッドホンで高音質を楽しめるというトレンドに合わせ、他社に追随するように3.5mmイヤホンジャックが廃止されました。有線のヘッドホン利用については、USB Type-Cから変換アダプター経由で対応しているのですが、Xperiaの特徴のひとつでもあったハイレゾ音源とノイズキャンセリングの両方を備えたヘッドホンが使えなくなってしまいました。

 そのほかの機能を見ると、サイド面にあった指紋認証センサーは背面に移動しています。背面にあるメリットとしては、右手と左手どちらの手で本体をつかんでいても人差し指で簡単に認証解除できるのですが、つかんだ際に指紋認証の上にあるカメラのレンズを触ってしまうという位置的な課題もありました。また、新たにNFCとQi(チー)方式のワイヤレス充電に対応したのもトピックです。

 Xperia XZ2は、デュアルカメラが主流の中、シングルカメラを採用したことや背面が膨れたデザインなどが大きく目立ってしまい、アスペクト比の変化や4KHDR対応、ワイヤレス充電といった、性能的な要素でみれば進化した部分がいくつもみられながらも、評価が低い不遇のモデルになってしまいました。

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