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中の人が語るさくらインターネット 第12回

研究所設立メンバーの鷲北氏、大久保氏に聞く「誕生のきっかけ」「成果」そして「転機」【前編】

設立10周年、さくらインターネット研究所の「これまで」の歩み

2019年08月20日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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研究所に訪れた「転機」、よりアカデミックなアプローチへと進む

 このように事業に近い領域での技術開発/研究を続けてきたさくらインターネット研究所だが、2017年に大きな「転機」が訪れる。エッジ/フォグコンピューティングを担当する菊地俊介氏、機械学習を担当する熊谷将也氏という2人の新たな研究員がメンバーに加わったのだ。

 「ちょうどわたし自身もクラウド開発のマネジメントを後任に引き継ぎ、研究所の専任所長に戻ったところでした。このタイミングで、これまで松本直人さん1人では手が回らなかったアカデミックなアプローチを強化する方向に転換しました。それまでの取り組みでは、やはりアカデミアへのアプローチが弱かったと感じていましたから」(鷲北氏)

 さらに翌2018年には、それまでペパボ研究所で主席研究員を務め、インターネットエンジニア界で強い影響力を持つ“まつもとりー”こと松本亮介氏もメンバーに加わる。

 「ある日、“まつもとりー”さんが『さくらの研究所なら何でもできるって聞いたんですが、ホントですか?』と尋ねてきたので『ホントですよ』と答えたら、ジョインしてくれることになりました(笑)」(鷲北氏)

 松本亮介氏がメンバーに加わったことが弾みとなり、坪内佑樹氏、宮下剛輔氏、青山真也氏、鶴田博文氏と次々に研究員が増え、現在の研究所メンバーは客員研究員も含めて総勢9名となっている。研究拠点も東京/大阪/福岡の3拠点に拡大した。

 「いつの間にかすごい大所帯になりましたね。最近入った方は皆さんフルタイムの研究員で、事業のほうには関わっていません。サーバー管理や仮想化技術、機械学習を用いた異常検知など、それぞれの専門分野で論文を書いて発表していただくのが主な役割です」(鷲北氏)

研究開発成果のリストを見ると、“転機”を迎えた2017年から論文/発表件数が急増している

「これまでの10年間」の成果、「これからの10年間」のビジョン

 今回、鷲北氏、大久保氏には、研究所設立から「これまでの10年間」を足早に振り返ってもらった。それではあらためて、これまでの10年間で最大の成果は何だったのだろうか。

 鷲北氏は「やはり仮想化、クラウド技術の研究開発です」と語る。

 「現在のさくらを見ると、VPSやクラウドといった仮想化サービスが売上の3分の1を占めるまでに成長しています。淘汰も激しい市場ですから、成果を残せたというよりは、あの時やっておいてよかったと、正直ほっとしています」(鷲北氏)

 大久保氏もまた、研究所として早期にクラウド関連技術を手がけられたことを挙げる。

 「仮想化技術、特にネットワークの仮想化技術ですね。当時蓄積したいろいろな知見は、今でも実サービスの中で活かされています」(大久保氏)

 先に触れたとおり、さくらインターネット研究所では従来からの“開発寄り”の活動も継続しつつ、これからは“研究寄り”の活動にもさらに力を入れていく。鷲北氏は、大きなカリスマ性を持つ松本亮介氏が中心となって、さくらの研究面を牽引してくれるものと期待していると語った。

 多くの新メンバーも加わった中で10年という節目を迎え、さくらインターネット研究所では今年1月に新たなビジョンを発表している。それは「超個体型データセンター」だという。

 「今後10年間どういう研究をやっていくのか、メンバーで話し合って決めたのが『超個体型データセンター』というビジョンです。簡単に言えば、これからの時代には全国に『分散型データセンター』が必要になるという話で、『さくらは石狩に巨大なデータセンターを構えているが、ああいうのはもう時代遅れになります』とぶち上げました」(鷲北氏)

 鷲北氏はそう話し、いたずらっぽく笑った。

 この超個体型データセンターとはどんなものなのか。次回の後編記事では松本亮介氏、坪内佑樹氏、宮下剛輔氏、青山真也氏の各氏に、さくらインターネット研究所が考える「これからの10年」について話を聞く。

(提供:さくらインターネット)

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