7/27、28日、SDLアプリハッカソン@東京が開催
100年にいちどの変革が起きているといわれるモビリティの世界。MaaSや自動運転車と同時に重要となるのが、人とクルマのインターフェイスの部分だ。今年5月、道路交通法改正案が可決され6月5日に交付されたのをご存じだろうか? 年内にも施行されるといわれるものだが、運転中にスマートフォンを使用すると「6か月以下の懲役、または10万円以下の罰金」という厳しい罰則となる。
「あれっ、ときどき使っているな」と心当たりのある方は要注意だ。スマホを使っていて交通事故などの危険を招いた場合には、さらに重い「1年以下の懲役、または30万円以下の罰金」となる。もっとも、運転中のスマホ利用は非常にキケンなので当然のことともいえる。今後、飲酒運転と同じように厳罰化によって「ながらスマホ」が激減することを期待したい。そこで、注目されているのがSDL(SmartDeviceLink)という規格だ。
iPhoneやAndroidのアプリがこれに対応すると、カーナビなどの車載機から画面タッチや音声で操作できるようになる(運転中も操作が許されるシンプルなインターフェイスを提供)。スマホアプリ提供社からすれば、SDL対応することで、自社アプリの車室内での利用が減る心配も避けられる。このSDLに対応したカーナビは、今年秋ごろから順次出荷がはじまるようだ。
スマホアプリでサービスを提供する会社にとっては、見過ごせないのがSDLというわけだが、同時に、未来のモビリティに挑戦するチャンスでもある。アプリが、カーナビを介して車速やエンジン回転数、ギアの状態、ガソリン残量など、さまざまな車両情報を取得することができるようになるからだ。
それでは、どんなサービスが可能になるのか? そのための「SDLアプリコンテスト2019」が、10月31日〆切ですでに募集中だ(賞金総額100万円)。また、このコンテストをにらんだ「SDLアプリコンテストに応募しようぜハッカソン@東京」が、2019年7月27日(土)、28日(日)、東洋大学情報連携学部INIADを会場に開催される(最寄り駅:JR赤羽、南北線赤羽岩淵)。
アプリのSDL対応のためのノウハウや情報を一気にキャッチアップするチャンスといえる。また、未来のモビリティのアイデアで賞金を狙うための下地作りにもピッタリではなかろうか? 詳しくは、コチラ。
博多祇園山笠のシーズンに、福岡でのハッカソンは盛り上がった
7月13、14日、九州産業大学で「SDLアプリコンテスト2019に応募しようぜハッカソン@福岡」が開催された。参加者18名のうち10名が現役大学生。自動車メーカーや地元の開発コミュティQUESTの方々(告知では同じくPROPOLYSにもお世話になった)、電波新聞九州支局の記者なども訪れて、充実した2日間となった。
SDLアプリは、通常のAndroid、およびiOSのアプリの開発経験者なら、その機能を呼び出すことで作ることができる。今回は、Android Studioとクラウド上でクルマの状態をシュミレートする環境を組み合わせての開発がほとんどだったが、Raspberry Piとタッチ液晶を組み合わせたクルマと接続してテスト可能な開発ツールもある。
今回、会場を提供いただいた九州産業大学の理工学部情報科学科 合志和晃教授が、すでに開発ツールをクルマに組み込んでテストされていた。それを参加者にデモンストレーションしていただいたことでSDLの利用イメージがうまく伝わったようだ。
それでは、2日間のハッカソンどんな作品が作られたのか、賞金の10万円を分け合った4作品を紹介しよう。なお、審査はSDLコンソーシアム参加企業の担当者の投票によって行われた。
運転状況管理アプリ(ブラック学生's)
ベスト2に選ばれた1本目は、九州産業大学の学生チームによる作品。SDLから取得できるクルマの情報と運転者自身のデータを絡めてみようというコンセプトが素晴らしい。具体的には、Apple Watchと連携して運転者の状況から「運転を続けるべきか?」などのアラートを発したりする。
G MUSIC(チームTTK)
大分大学のチームTTKによる「G MUSIC」は、位置情報連携型の音楽プレイヤーで、たとえば県境を超えるとそれに合わせて地元出身者の楽曲を切り替える。話題を提供して居眠りの防止になるほか、目的地が近づいたら曲のテンポを変えるなどのアイデアが盛り込まれていた。SDLで、いままでにない音楽プレイヤーの可能性が広がりそうだ。
ベスト2に続いて評価されたのが、次の2作品。
SafetyDriveLink(九電ビジネスソリューションズ株式会社 桒畑仁志)
当日は、九産大合志先生の情報技術を使った交通システムの安全をテーマにしたミニレクチャーも行われたのだが、そこからヒントを得たという作品。必ずしも反応が遅い人が事故を起こすわけではないといったデータが示されたのは興味深かった(反応にバラつきのある人が事故を起こす率が高いそうだ)。このアプリでは、そうしたテストが自分のクルマで行える。
ツイッCar(ななしまる)
地図連動型のソーシャルメディアだが、つぶやくのは人間ではなくクルマだというアプリ。車両情報をもとに「腹減った」(ガソリン減っている)、「進まんばい」(渋滞)、「下手か~」などとつぶやくサンプル画面が提示された。地図で表示されるので、情報共有ツールとしての便利さはもちろんのこと、ドライバーはつぶやかないので安全性も高そうだ。
全体では、18名の参加者が8チームに分かれてアプリを開発したが、今回は、安全運転をサポートするアプリが目立った印象だ。おりしも高齢者ドライバーの事故のニュースが注目された時期に、タイムリーにそうした社会課題に答えるアプリが作られたわけだ。
7/27、28日に開催される東京でのハッカソンでは、どんなアプリが作られるのか? 東京での開催概要は以下のとおりだ。スマホアプリの開発者、モビリティの未来に興味のある方々の参加をご検討いただきたい。
SDLアプリコンテスト2019に応募しようぜハッカソン@東京
日時:2019年7月27日(土)、28日(日)
会場:東京赤羽の東洋大学情報連携学部INIAD
主催:SDLアプリコンテスト実行委員会
事務局:株式会社角川アスキー総合研究所
後援:INIAD cHUB(東洋大学情報連携学部 学術実業連携機構)
運営協力:一般社団法人MA
申し込みはコチラ
=> https://mashupawards.connpass.com/event/136983/
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