炊飯器のデザインを再定義する
デザイン本部が、現場に近いカンパニーとしての立場ではなく、広く俯瞰してデザインを行うコーポレートの立場から取り組む具体的な例としてあげたのが「炊飯器」である。
「これまでの炊飯器は、昨年の炊飯器よりもいいものを作るという繰り返しでデザインをしてきた。既存の延長線上で進化をするというものであった。だが、テクノロジードリブンから、感性価値ドリブンへと移行するなかで、デザイナーが考えなくてはならないのは、『だれのために、なにをつくるのか』ということである。おいしいものを食べるため、健康のため、あるいは家族が集うためのきっかけになる、という観点からも考えてデザインしなくてはならない。そして、炊飯器そのものが家にある必要があるのかといった存在自体を再定義する必要もある。これまでのカタチと色のデザインを考えれば、デザイン上の工夫には限界があるが、感性価値ドリブンでデザインを考えれば、やることは山ほどある」とする。まさに、経営や戦略という観点からのデザインが始まっている。
新たに設置したデザイン本部からどんなデザインが生まれ、これが各カンパニーのデザインセンターとの連携で、どう商品に反映されるのか。数年後が楽しみである。