パナソニックは国内で最も古く、デザイン部門を作った
パナソニックは、2019年4月に、イノベーション推進部門にデザイン本部を設置。経営とデザインの一体化運営に注力しはじめたところだ。
パナソニック デザイン本部の臼井重雄本部長は、「パナソニックが、インハウスのデザイン部門を設置したのは1951年。松下幸之助創業者が初めて米国に渡り、帰国後、すぐにデザイン部門を作った。社内にデザイン部門を設置したという点では、国内で最も古い企業と言われている」と話す。
「パナソニックでは、デザインを経営資源として、経営の中枢に入り込んで、企業の活動をドライブしていかなくてはならならいと考えている。かつては、色と形をデザインするのがデザイナーの仕事であったが、いまでは、サービスデザインやUXデザインだけでなく、ソリューションデザイン、ストラテジーデザイン、ストーリーデザインといった領域まで職能が広がっている。デザイナーのスキルも拡張することが求められる一方、デザイナーが活躍できる場が増えている」(臼井重雄本部長)
パナソニックでは、観察の達人であるデザイナーが、顧客の潜在ニーズの発見を主導する「インサイト」、コトバにならないモノをカタチにして、開発サイクルを加速する「ビジュアライズ」、素早く世に問い、フィードバックを繰り返しながら、ブラッシュアップをする「アジャイル」といったデザイナーが持つ3つの特性を生かしながら、経営に関与。「顧客視点での製品、サービスづくりを加速し、人々のくらし、社会のそばにいつもPanasonic Designがいることを目指している」とする。
テザイン本部は、本社直轄組織として、コーポレートの視点から、オールパナソニックの体制で、デザイン戦略を推進する一方、アプライアンス社、ライフソリューションズ社、コネクティッドソリューションズ社、中国・北東アジア社の4つのカンパニーに設置しているそれぞれのデザインセンターと連携することになる。
そして、デザイン本部には、デザインマネジメントの組織に加えて、新領域の開発をするFUTURE LIFE FACTORY、ビジネスクリエイティブデザインなどのコンサルティング活動や、原型デザインの創出などの研究開発活動を行うスペース&メディア創造研究所で構成。多様なスキルセットでビジネスの上流から顧客のタッチポイントまでをリードする「多様性」、オールパナソニックによる活動や若手のチャレンジの場を作る「流動性」、カンパニーとともに人材を作る「連携化」といった役割を担うという。
また、「気づく、考える、つくる、伝える」という4つのステップを大切にし、これを、「イノベーションを起こすデザインプロセス」に位置づけている。「パナソニックには、従来のデザインの価値であった色やカタチをつくるというデザイナーが多い。ここに、気づく、考える、伝えるといった機能をバランスよく加えることが中期的には大切である」とした。