柔軟性を持った生産体制も作ってきた
島根富士通は1995年には、パソコンの累計生産100万台を達成。当初はデスクトップパソコンなどを生産していたが、1995年からはノートパソコンの生産に特化。1997年には累計生産200万台を達成し、1998年には300万台、2000年には500万台、2003年には1000万台、2007年には2000万台を達成し、さらに、2013年には3000万台を達成していた。
2002年には顧客のニーズに合わせて、ノートパソコンの外観や設定を変更する「カスタマイズサービス」を開始。2009年にはプリント基板から製品組み立て、梱包までの一貫生産体制を実現。2010年には1台ごとに仕様が異なるパソコンを生産する混流ラインを確立。2013年にはこれらの特徴ある生産体制を生かして、電子機器の受託生産をする「ものづくり受託サービス」を開始。
さらに、2014年には複数のベンダー製品にも対応した「マルチベンダーキッティングサービス」を開始するなど、単なる量産に留まらず、新たなサービスを積極的に採用。1台ごとに仕様が異なるパソコンの生産にも対応できる、柔軟性を持った生産体制を敷いているのが特徴だ。
ノートパソコン以外にも、タブレットや周辺機器も生産。富士通のコミュニケーションロボット「ロボピン」の生産実績も持つ。さらに、今後は富士通グループ以外にもモノづくりサービスを提供する姿勢をみせる。
また2011年には、島根富士通が立地していた斐川町が出雲市に編入したことで、島根富士通で生産したパソコンを「出雲モデル」と命名。2012年には、出雲市から「出雲ブランド商品」に認定されている。
2019年6月20日に開催された「パソコン生産累計4000万台達成」記念式典で、島根富士通の神門明社長は「今日という日を迎えることができたのは、ここで働くすべてのみなさんによる日々の努力と研鑽に支えられた卓越したモノづくり力、そして、取引先や地域、富士通クライアントコンピューティングや富士通の理解と支援の賜物だと実感している。あらためて、すべてのみなさまに感謝申し上げる」と挨拶した。
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