病院での検査だけでなく、日常生活の中で生体信号を取得できれば、まれな病気にも気付きやすくなる。そこで、着るだけで生体信号が計測できるスマートウェアの開発が進んでいる。
スマートウェアを使った計測の課題の1つが、体に密着させる電極だった。たとえば心電図の場合、既存の電極では限られた方向からしか計測できず、呼吸や会話などによって心電波形に乱れが生じてしまう。
産業技術総合研究所(産総研)と名古屋大学が開発したスマートウェアは、既存の電極の代わりに、繊維を起毛した状態で植え付ける起毛ドライ電極で心電図を計測する。起毛ドライ電極は、ベルベットのように柔らかな風合いで皮膚と接触できるため、着心地を損なうことなく長時間の心電図の計測が可能だという。長時間の計測によって、病院での検査だけでは見つけにくい異常の発見も期待できる。
産総研と名古屋大学は今後、医療機器としての認可取得を目指している。また、今回開発したシステムは、心電図に限らず、筋電図、脳波、体内インピーダンス計測などにも応用できるといい、幅広いスマートウェアへの展開も期待できそうだ。