企業理念の元となる
11のルール
少し間が空いてしまったがHPの第2回をお届けしよう。1947年に法人化を果たした時、同社の売上は150万ドルほどであった。翌1948年には売上は220万ドル、社員数も128人に増えており、1950年には従業員は200人まで増えている。
売上も順調に伸びたというのは前回も書いたが、朝鮮戦争が1950年に始まり再びHPのマイクロ波関連製品や測定器などが必要になったからで、その後も順調に売上を伸ばし、1960年には6600万ドルに達している。
この時期は、アメリカ自体が好景気に沸いていた時期でもあり、それもあって朝鮮戦争が終わっても特に売上が落ち込むことはなく、さらに売上が伸びていったのも不思議ではない。
ちなみにHPのTimeline of our historyによれば、1950年代から急速にカリフォルニア州パロアルトの人口が増え、1950年からの10年でほぼ人口が2倍になったらしい。
本格的にこの地が人気になるのは1980年代に入ってからであるが、それまでは果樹園が広がる地域に急速にオフィスビルやアパート、道路が増えていくことになったそうだ。
その好景気の最中の1957年11月6日に同社は新規上場株式を果たす。株価は16ドルほどだったそうだ。この新規上場株式には2つの目的があった。1つは言うまでもなく資金調達であるが、もう1つは従業員への報酬である。
勤続6ヵ月以上の従業員は、どんな役職であってもHPの株式が贈与された。またストックオプションプログラムもこの時期に始まっている。
これと併せて、この時期に企業理念である“The HP Way”の元となる、“Dave's 11 Simple Rules”が登場した。
- 1. 他の仲間を優先して考えよ
- 2. 他の仲間の重要性への意識を高めよ
- 3. 他人の人格の権利を尊重せよ
- 4. 心から感謝せよ
- 5. ネガティブなものを排除せよ
- 6. 他人を大っぴらに変えようとしないこと
- 7. 他の人を理解すべし
- 8. 第一印象をチェックせよ
- 9. 些細な事への注意を怠らない
- 10. 他人への真の関心を培うべし
- 11. それを続けよ。それがすべてだ。そのままそれを続けるべし
実際にはもう少し説明文も入っているが、これは検索すればすぐ出てくると思うので、ここでは取り上げない。なんというか、IBMのWatson Sr.氏が掲げた“Think”にも通じるものがある。
この時期、HPは急速に従業員数が増えており、おそらくはそうした増加にともなう弊害が出始めていたのであろう。

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